必ず、まもると決めたから。

良かった。
私の口から出た言葉が彼に元気を少しでも与えることができたのなら、吐き出して良かったのだ。


急に渇きを覚え、オレンジジュースを一気に飲みする。


「駅まで送る」

「あ、今日は私が!」


さっと伝票をとった田中くんは私が届かない位置まで掲げた。


「今日、給料日だから。奢る」

「でも…」

「気にするな」


そんなやり取りがあって、お礼のつもりで誘ったのに私には1円も払わせてくれなかった。


駅の入り口まで送ってくれた田中くんに最後までせめて半分払わせてよ、と言い続けたけれど学校でいつもそうされているように無視された。



「ありがとう。送ってくれて。後、ご馳走様でした」


改札に人がどっと押し寄せる。
母もあの波の中に居るのだろう。


「また明日」


そう言って足早に立ち去って行く田中くんの背中を見送った後、駆け寄ってくる母に手を挙げた。

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