必ず、まもると決めたから。
第2章 正義の味方
4月も後3日で終わり、
5月に入れば連休が待っている。
「ねぇ、新谷くんのことどうするのよー」
「お礼のこと?何かしてもらうの悪い気がして」
今日は天気が良いから外で食べようと遥に誘われて、校庭の片隅にあるベンチで昼食をとる。
いつお昼を食べたのか分からない程の速さで既にサッカーを始めた男子生徒のかけ声を聞きながら、タマゴサンドをかじる。
「いいじゃん、新谷くんが良いって言ってるんだからさ」
たまに廊下ですれ違うと声をかけられるくらいは顔見知りになった。
いつも複数の女子を連れて楽しそうにお喋りをしていて賑やかだ。
「遥は本当に新谷くんが好きだね」
「そういう千咲はどうなのよ?初恋の人から心動いたりしてないの?」
教科書に挟まっていた新谷くんの電話番号のことは遥には話していない。うっかり挟みっぱなしになっていて私宛だとも限らないし。
「動いてないよ」
「そうなのかー初恋の人って本当に素敵なんだね」
「うん」
相変わらず彩りや栄養バランスが考えられた遥のお弁当は美味しそうで、そっと唐揚げに手を伸ばす。
「もーらい!」
「ちょっと!」
田中くんは今頃何を食べているのだろう、そんなことをふと思った。