必ず、まもると決めたから。
ひとり教室に戻ると、田中くんの席は空だった。
いつもどこで食べているのだろう。
いやいや、気になるけれど、色々と詮索するのはうざいよね…。
「千咲、待ってたよ」
「ごめん、お腹空いたね!」
後ろの席の志村遥と向き合うように椅子を半回転させて、彼女の机にコンビニの袋を置く。
「またサンドイッチ?」
「これが好物なの」
タマゴサンドと、シャケおにぎりを毎朝同じコンビニで買うことが私の日課だ。
「飲み物は紅茶の無糖。いつも変わらないねー」
「そっちは、オムライスかぁ。美味しそう」
彼女は毎日、レパートリーが豊富で彩りまで考えられた母親の手作りお弁当を持ってくる。クラスの大半がお弁当箱を広げている中、男子と同じようにコンビニの袋を持ってくる私は女子の中では珍しい。
もう高校生になったのだからお弁当くらい自分で作れるし、私の意思で買ってきているだけだ。食事も大事だけど、まずは睡眠だよね!
いや、睡眠より勉強か…。
結局、午前中の授業でまともに理解できた教科はひとつもなかった。