星と月と恋の話
「うーん。美味しい…」

「それは良かったです」

結月君の作ってきてくれたフルーツサンド。

フルーツサンド専門店より美味しいのでは?

お腹空いてたから、余計にそう思うのかも。

フルーツサンドだけじゃなくて、フライドチキンやポテトサラダなど、今日は洋風のおかずがたくさん詰まっていた。

彼氏に、二度もお弁当作ってきてもらうなんて。

私は何たる贅沢者だ。

しかも超美味しい。

「料理も出来て、お裁縫も出来て…君はあれだね、もう」

「あれ?」

「女子だ」

「…」

女子だよ、君は。

料理は上手い、お裁縫はプロ並み、絆創膏やハンカチを持ち歩き、準備が良い。

完全に、女子力の塊。

「…褒めてもらってるんでしょうが、何だろう…。全然嬉しくない…」

と、結月君はボソボソ呟いていたけど。

誰が何と言おうと、君はれっきとした…女子だ。

もぐもぐ。美味しい。

…それにしても。

「…景色、綺麗だねー」

「…今気づいたんですか?」

うん、今気づいたよ。

寒い痛い寒い痛いと思いながら、ろくに周囲を見ようともせず、ここまで歩いてきたけど。

よくよく見てみたら、この山。

真っ赤に色づいた紅葉が、凄く綺麗なのだ。

ろくすっぽ景色を堪能せず、ここまで来てしまったことが悔やまれる。

だって仕方ない。痛かったんだもん、足。

特に、この山頂からの眺め。

絶景じゃないの。私、何でさっきまでスルーしてたんだろう?
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