星と月と恋の話
改めて、山頂からの景色を楽しみ。

ちゃんと、スマホで写真も撮った。

結月君のフルーツサンドも堪能したし、大満足。

…そして。

「そろそろ降りましょうか。…足、大丈夫ですか?」

「うーん…」

私は手拭いを巻いてもらった爪先を、確認してみた。

痛みはかなり減った。

結月君の献身的な看護のお陰で、腫れもだいぶ引いている。

とはいえ、当然完治には程遠い。

歩き出したら、多分また痛くなるんじゃないだろうか。

だけど、ここでじっとしてたって家に帰れる訳じゃないし。

「大丈夫、頑張って歩くよ」

たっぷり休憩したし、結月君に手当てもしてもらったし。

さっきみたいに痛む前に、勢いで、さっさと下山してしまおう。

「靴は…僕と交換しても意味ないですしね」

「そりゃそうだ。そんなことしたら、今度は結月君まで靴ずれしちゃうよ」

さすがに、靴交換は無理だ。

「じゃあ、こまめに休憩しながら降りましょう。もし痛くなってきたら、遠慮せず言ってくださいね」

「うん、分かった」

「本当に分かってます?『勢いでぱぱっと降りちゃえば良いや』とか思ってません?」

ぎくっ。

結月君、何でそんなピンポイントに私の考えることが分かるの?

私って、そんなに単純なんだろうか。

「靴ずれだって、悪化したら大変なことになるんですからね。分かってます?」

「う、うん、分かってるよ…」

そんな食い気味に聞かなくても…。

心配し過ぎだって。

「最悪、僕がおんぶして歩きますから」

「い、いや。それはさすがに冗談でしょ」

「?僕は本気ですよ」

え、えぇぇ。

結月君小柄なのに、そんなパワーあるの?

って言うか、男の子におんぶしてもらって下山、なんて。

恥ずかし過ぎるから、絶対遠慮したい。

よし、多少痛くなっても、頑張って自分で歩こう。





…と、決めたは良いものの。











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