星と月と恋の話
先生の説明の後、グループ6人が集まって。

いざ、作戦会議。

の、前に。

「リーダーとサブリーダー決めないといけないって…。誰がやる?」

こういうときは、つい押し付け合いがちな役目だが。

このグループでは、そのようなことはなかった。

何と行っても、元々仲良しグループだし。

お互い気心の知れた仲。

「じゃあ、俺リーダーやるわ」

「なら、私がサブリーダーやるよ」

隆盛と真菜が、それぞれ名乗り出てくれた。

驚くほどあっさりリーダー決めが済んだ。

話が早い。

お陰で、すぐに本題に入れる。 

「で、4品作るんだっけ…。何作る?」

「4品って多いよなー。いっそお茶漬けとレトルトスープで良いんじゃね?」

と、おどけた正樹が言った。

奇しくも私と同じ発想なので、小言も言えない。

「あのねぇ…そんなの怒られるに決まってるでしょ」

お茶漬けなんて献立に入れたら、それだけで怒られそう。

真面目に考えなさい、って。

「4品だからな…。丁度、一汁三菜か…」

「でも、それだとデザートないじゃん」

と、講義する海咲。

うん。

デザートは必要よね。

4品も作るなら、その中の一品はデザートを入れたいよね。

何のデザートが良いかなぁ?

「デザート要るかぁ?」

「要るわよ。要るの」

デザートがない調理実習なんて、全然楽しくないわ。

え?一汁三菜?

知らない知らない。

最悪メイン料理なくても良いから、デザートは必要。

って、それは言い過ぎか。

「デザート何にする?」

「そうだなー。ここは豪勢に…アップルパイとかどう?」

「おっ、良いね〜。私はチーズケーキを推したいなぁ」

「あんたチーズケーキ好きよねぇ」

「だって美味しいじゃん」

「私はクッキーが良いなぁ。アイシングクッキーにしようよ」

「不器用な癖に〜」

女子3人で、デザート論議でわちゃわちゃ。

…している間、男子はと言うと。

「デザートだってよ。女子はデザートデザートうるせぇなぁ。なぁ隆盛」

「まぁ良いじゃん。デザートあった方が献立の見栄えも良いだろ、多分」

呆れた様子で、正樹と隆盛は喋っていた。

「でも、簡単な奴にしてくれよ?時間内に作りきれなかったら洒落にならないからな」

「はいはい、分かってるわよ」

簡単なデザート…ねぇ。

だとしたら、アイシングクッキーはさすがに無理かなー…。

クッキーだけならともかく、アイシングしてる暇があるだろうか?

そもそも、作るのが簡単なお菓子って何なんだろ。

…それすら知らないとは。

デザートで誰よりもはしゃいでる癖に、いつだって食べる専門で、作る方はさっぱりなんだもん。

情けない。

でも、こんなとき。

私達には、頼れる味方がいる。

「ねぇ、結月君」

「…」

「作るのが簡単なお菓子って、何があると思う?」

「…え?」

結月君に話を振ってみると。

彼は、ポカンとしてこちらを見つめていた。
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