星と月と恋の話
…何、その反応。

自分もグループのメンバーなんだって自覚してる?

さては、何も聞いてなかったでしょ。

「結月君、話聞いてた?」

「あ、えぇと、その…済みません」

やっぱり聞いてなかったんだ。

このー…。呑気なもんだ。

君はシェフなんだから、この中で一番張り切ってなきゃいけないんだぞ?

何ならリーダーである隆盛の代わりに、色々取り仕切っても良いくらい。

「作るのが簡単なデザートは何か、って話してたの。何か知ってる?」

「作るのが簡単なデザート…ですか。えぇと…」

「アイシングクッキーとか無理かなぁ?」

「それは…。…難しいんじゃないでしょうか…」

やんわりと断られた。

やっぱり駄目だったか。

いや、駄目元だったから別に良いけど。

不器用だしなぁ、私。

「結月君は、どんなデザートなら良いと思う?」

「えっと…。…あんみつ…ですかね?」

「…」

これには、一同無言。

…あんみつ?

あの…和菓子屋さんとかで食べる奴?

結月君、君…渋い…。

「…あっ、済みません」

空気が固まっているのを見て、結月君は慌てて謝罪した。

いや、君が悪いんじゃないのよ。

作るのが簡単なデザートは何、って聞いただけだもの。

結月君は、その質問に答えてくれただけだ。

「あんみつって、作るの簡単なの?」

「作り方にもよります…。小豆を煮るところからあんこを作っていたら、時間はかかりますけど」

さすが、本格派ね。

「市販のあんこを買ってくれば、あとは白玉粉を買ってきて白玉団子を作って、フルーツを切るだけで…。あと黒みつを作るだけですから」

凄く簡単そうに言うけど、まぁまぁやることあるわよね。

やっぱり、ホットケーキミックスに卵と牛乳入れて焼くだけ、みたいに簡単には行かないわよね。

さすがに、ホットケーキミックスで焼いたホットケーキがデザートです、っていうのは、あんまり料理って感じがしないし…。

手抜きレシピで作るにしても、何処まで手を抜くかは、グループの裁量によって変わるわよね。

他の3品がどれくらい手がかかるか、にもよる…。

「…いやー、あんみつは良いわ…。和菓子って地味だし」

海咲がドン引きの様子で言った。

更に。

「悪いけど俺、あんこ苦手なんだよな」

「年寄りじゃないんだから、あんみつはないだろ」

隆盛と正樹も、この反応。

皆、案外冷たいのね。

あんみつ…私は嫌いじゃないんだけど…。

前、家族と旅行に行ったとき食べたことがあるけど。

生クリームとアイスクリームが乗ってて、和風パフェみたいな感じで美味しかった。
< 114 / 458 >

この作品をシェア

pagetop