星と月と恋の話
…言っちゃった。

言っちゃったよ。

正気か、私。

男の子に告白するなんて、人生で初めてだったのに。

その初めての機会を、こんなダサ男君に使うなんて、私は正気か。

まぁ、でもこれは罰ゲームで、本気じゃないからノーカンか。

それより、三珠クンの反応。

さすがに三珠クンも驚いているようだった。

目を見開いて、びっくりしたような顔でこちらを見ていた。

そりゃあ驚くでしょうよ。

言っておくけど、私の方がずっと驚いてるからね。

罰ゲームとはいえ、まさか君に告白する日が来るなんて。

あぁ。あんなカラオケバトル、やんなきゃ良かった。

後の祭りだよ、全く。

しかし、私はやるべきことはやったのだ。

あとは、三珠クンの返事次第…。

「…」

三珠クンは、無言で私を見つめていた。

何を考えているのか、顔を見ただけじゃ分からない。

…ちょっと、何なのこの沈黙。

何考えてるの、この人。

何とか言ってよ。

まさか、告白を受けようなんて考えてないわよね?

そこはちゃんと身の程を弁えてよ。

隆成は大丈夫だって言ったけど、三珠クンがもし、その気になるようなことがあったら…。

うぅ、考えたくない…。

「…あの、何とか言ってよ」

沈黙に耐えられなくなった私は、こちらから返事を促した。

生殺しみたいじゃない。

OKなのかNOなのか、はっきりしてよ。

いや、OKなんて言われたら、私は卒倒するんだけど。

「…本当に、そう思ってるんですか?」

私が促すと、三珠クンは私にそう尋ねた。

ぎくっ。

やっぱり疑ってる?

一応、自分と私が釣り合わないことは自覚してるんだ。

いや、実は冗談だよ、と言えたらどんなに良かったか。

でも私は、これが罰ゲームであると気づかれないように振る舞わなければならないのだ。

「当たり前じゃない。本気で言ってるのよ」

私は、必死に作り笑いを浮かべて言った。

早く。早く終われ。

心臓バックバクで、もう死にそうだよ。
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