星と月と恋の話
第7章
―――――――…何だか、不思議な感覚だった。



学校で、調理実習があるのは毎年のことだけど。

こんなに…何て言うか、働かされたのは初めてだった。

いつもなら、グループの人達に任せて、自分は言われたことしかやらなかったもんな。

その方が角が立たなくて良いと思ってた。

それがどうだ、今年は。

なんか、物凄くこき使われた気がする。

でもまぁ悪い気はしない。

自分の得意なことで、役に立てたからだろうか。

悪目立ちしているだけのような…そんな気がしなくもなかったが。

それでも、誰かに頼られるというのは悪い気分ではない。

それを実感した。




…その日。

「…何か良いことがあった?」

「え?」

夕食のとき、母に唐突に聞かれて、僕は箸を動かす手を止めた。
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