星と月と恋の話
「それに星ちゃん、いつの間にか三珠クンのこと、下の名前で呼んでるし」

そ、それは。

「付き合ってるんだから、仕方ないでしょ?いつまでも名字呼びじゃ他人行儀じゃない」

「ふーん?それにしては親しげだけど〜」

それも、付き合ってるんだから当たり前のことでしょ。

罰ゲームとはいえ…。今の私と結月君は、恋人同士ってことになってるんだし…。

恋人同士として、当然の振る舞いをしているに過ぎない。

「じゃ、やっぱり星ちゃんは、三珠クンとマジで付き合う気はないの?」

何を聞いてるのよ。

「な…ないわよ、そんなの」

「ふーん?」

そりゃ…話してみたら、意外と根暗って感じではないし。

めちゃくちゃスペックは高いし、底なしに優しい人でもあるけど。

私の…好みじゃないもの。あんな…地味な人は。

「自分だったらって考えてみなさいよ。いくら良いところがあったって…あの結月君と、付き合いたいと思う?」

と、私は真菜と海咲に聞いた。

すると二人は顔を揃えて、そして、最もだと言うように笑い出した。

「ないない。絶対無理」

「無理だわ〜。いくら良いところがあっても無理」

ほら、二人だってそうじゃない。

二人が無理だって言うくらいなんだから、私だって…。

私だって…結月君と本気で付き合うなんて、無理だよ。

「しっかし三珠クンも、星ちゃんと付き合えて幸せだよねぇ」

「そうでもなきゃ、三珠クンと付き合う人なんて、いないでしょうからね」

「星ちゃんが付き合ってあげてなかったら、彼女いない歴=年齢になってたでしょうね」

「三珠クンにとっては、幸せな夢を見れる至福の三ヶ月でしょうね」

「まぁ、それもあと一ヶ月ちょっとで終わりだけどね」

…そう、よね。

あと一ヶ月と少しで、この忌々しい罰ゲームも終わり…。

どれだけ一緒にデートしようが、調理実習で同じグループになろうが。

結月君とは、罰ゲームで付き合っているだけなんだから。

期限が過ぎたら、それで結月君との関係も終わる。

所詮結月君とは、それだけの関係でしかないのだ…。
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