星と月と恋の話
翌週の平日。

私は早速、家デートの件を結月君に持ちかけてみようと思った。

さすがに私としても、結月君と家デートはキツいので。

ワンチャン、断ってくれることを期待している。

「いや、さすがにお家にお邪魔するのは…」とか言ってくれることを。

結月君、君なら言える。断るんだ。

いくら押しに弱い君でも、家デートはハードル高いはずだ。

だからきっと、結月君なら断ってくれると信じ、

「あの…星ちゃんさん、もし良かったら、なんですけど」

「ん?何?」

「今度の週末、うちに遊びに来ませんか?」

「…」

…この可能性は、全く考慮していなかった。

まさか。

まさか、あの超がつくほど奥手の結月君が。

自分から、家デートに誘ってくるとは。

それは予想していなかった。

成程、そう来たか。

私の家に、結月君が遊びに来るんじゃなくて。

逆に私が、結月君の家に遊びに行くのか。

その展開は…全然想像してなかったなぁ…。

…ちょっと、反応に困った。

「…あ、いえ、無理にとは言わないので。嫌なら、無理には…」

「あ、いや、ううん、そうじゃなくて…」

断ってくれるどころの騒ぎじゃなかったね。

むしろ、積極的に結月君の方から誘ってくれるとは。

想定外だったけど、想定外だったけど…それでも。

家デートという、罰ゲームのノルマを達成する為には。

結月君の方から家デートに誘ってくれるのは、むしろ有り難いことだと思おう。

一番有り難いのは、断ってくれることだったんだけど。

それはまぁ…贅沢ってものだよね。

もっての機会と捉えよう。
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