星と月と恋の話
…っていう話を、昼休み、学食で真菜と海咲にしてみたところ。

「あははは!」

「ふふっ」

…笑われた。

…あなた達を友達だと思っていたのは、どうやら私だけだったようね。

友達の不幸を嘲笑うなんて、趣味が悪いにも程があるわ。

「笑い事じゃないのよ」

私は真顔でそう言った。

私は真剣に言ってるのよ。真剣に。

笑ってるんじゃないわよ。

「まさか、三珠クンの方から家デートに誘うなんてね。意外と度胸あるのね」

「案外ムッツリなだけなんじゃない?うっかり襲われないように、気をつけなさいよ?」

「…何言ってるのよ…」

だから、そのにやにや笑いをやめなさい。

他人事だと思って、あんた達は…。

「それにしても、三珠クンってマザコンなのね」

え?

「だってそうでしょ?お母さんに紹介したいから来てくれ、なんて」

「あー、それ思った。マザコン彼氏とか考えただけで最悪」

マザコン…か。

結月君がマザコン…?

…まぁ、その気(け)はあるよね。

何度か結月君の口から、お母さんの話を聞いたことあるし。

無意識に出てくるんだろうけど。

無意識にお母さんの話が出てくる辺り、マザコンと言っても差し支えないのかもしれない。

お母さんの話してるときの結月君、何処か嬉しそうと言うか、誇らしそうだもんね。

自慢のお母さんなんだろう、きっと。

そういう意味では、マザコンと言われても否定出来ないのかもしれない。

確かに、マザコン彼氏は…私も嫌だなぁ。

「どうする?星ちゃん。出会い頭に、『あなたを息子の嫁とは認めません』とか言われたら」

海咲ってば、にやにやしながら何を言い出すのよ。

どういう妄想よ。

完全に面白がってるわね?さては。

「そう言われるなら、結構よ。『私だって、あなたを義理の母親とは認めません』って言ってやるわ」

「おぉ。壮絶な嫁姑バトル!」

…怒るわよ。

私は結月君の嫁ではないし、結月君のお母さんは私の姑ではないわ。

「変な勘違いされなきゃ良いね〜」

「マザコン男のお母さんだから、性格悪かったりして」

「有り得る」

う…。怖いこと言わないでよ。

結月君の話を聞くところ、悪いお母さんではなさそうだけど。

自分のお母さんを悪く言うなら、そもそも家に呼んだりしないわよね。

…良い人だったら良いなー。

こんなことなら、やっぱりうちに呼ぶべきだったかな…。

「ま、頑張ってね〜星ちゃん」

「感想聞かせてね、感想」

友達二人は、完全に他人事だし…。

あぁ、不安が募る…。
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