星と月と恋の話
15分歩いて、辿り着いたのは。
住宅街からは少し離れた場所にある、慎ましい日本家屋。
建物は古いように見えるけど、広い庭は隅々まで手入れが行き届いていて、とても綺麗だ。
寒い季節なのに花咲いてる。綺麗。
「綺麗な庭だね」
「ありがとうございます」
「あれって何の花?」
私は、ピンク色の花びらをした花を指差した。
「サザンカですよ。その奥はツバキです」
ほぇ〜。風流なお庭。
「この庭って、結月君のお母さんの趣味なの?」
「半分は僕の趣味ですかね…?手入れしてるのは僕なので…」
本当に君、何でもやってるのね。
庭の手入れなんて、私やったことない。
うちはマンションだから、庭がないだけなんだけど。
「私はもう、君が庭で錦鯉を飼育してても驚かないわよ」
「さすがに…鯉はいませんよ…」
そう。それは良かったわ。
玄関まで歩くと、結月君は玄関の鍵を開けて引き戸を引いた。
お母さんが待ち受けてたらどうしよう。
ドキドキ。
が、玄関先は無人だった。
代わりに花瓶が置いてあって、これまた綺麗な花が活けてあった。
わー…。お家に花を活けてる家って、なんか上流階級って感じするよね。
おまけに、玄関ぴっかぴか。
泥一つ落ちてなくて、私が汚してしまうんじゃないかって、心配になるくらい。
靴も綺麗に揃えられていて、やっぱり上流階級味を感じる。
結月君も結月君で、靴を脱いだ傍から、きちんとしゃがんで揃えてるし。
何気ないその動きを見るに、毎日やっているものと推測する。
君は偉い。
こういうところ、育ちが出るんだよなぁ…。気をつけよう。
結月君を倣って、同じように丁寧に靴を揃える。
緊張する…。
真菜や海咲の家に遊びに行ったことはあるけど、人の家を訪ねて、こんなに緊張したことはない。
何かのタイミングでボロが出て、無作法しちゃったらどうしよう。
叩き出される可能性大。
そして。
「…あの、星ちゃんさん」
「は、はい?」
緊張しながら、視線をぐるぐる彷徨わせ。
部屋の隅、廊下の隅、何処を見ても埃一つ落ちていないことに、感動の念を覚えていたところを、結月君に呼び止められた。
「まず、母に紹介しても良いですか?しきりに星ちゃんさんに会いたがってたので…」
「しょ、初っ端からラスボスなのね…!?」
「…ラスボス…?」
「あ、な、何でもない…」
つい、こっちの話が出てしまった。
勝手に人のお母さんを、ラスボス認定してしまっていた。
だってしょうがないじゃない。
事前情報から推察するに、厳しいお母さんなんでしょ?
この、家の中の几帳面っぷりを見ても分かる。
めちゃくちゃ神経質な人に違いない。
私なんてあれよ。あっという間に、通常攻撃一発でKOよ。
せめて、必殺技一回くらいは耐えたかった…。
しかし、今更逃げ出す訳にはいかず。
「じゃあ案内しますね。こっちです」
「は、はーい…」
私は恐る恐る、結月君についていった。
早速、ラスボスとご対面。
住宅街からは少し離れた場所にある、慎ましい日本家屋。
建物は古いように見えるけど、広い庭は隅々まで手入れが行き届いていて、とても綺麗だ。
寒い季節なのに花咲いてる。綺麗。
「綺麗な庭だね」
「ありがとうございます」
「あれって何の花?」
私は、ピンク色の花びらをした花を指差した。
「サザンカですよ。その奥はツバキです」
ほぇ〜。風流なお庭。
「この庭って、結月君のお母さんの趣味なの?」
「半分は僕の趣味ですかね…?手入れしてるのは僕なので…」
本当に君、何でもやってるのね。
庭の手入れなんて、私やったことない。
うちはマンションだから、庭がないだけなんだけど。
「私はもう、君が庭で錦鯉を飼育してても驚かないわよ」
「さすがに…鯉はいませんよ…」
そう。それは良かったわ。
玄関まで歩くと、結月君は玄関の鍵を開けて引き戸を引いた。
お母さんが待ち受けてたらどうしよう。
ドキドキ。
が、玄関先は無人だった。
代わりに花瓶が置いてあって、これまた綺麗な花が活けてあった。
わー…。お家に花を活けてる家って、なんか上流階級って感じするよね。
おまけに、玄関ぴっかぴか。
泥一つ落ちてなくて、私が汚してしまうんじゃないかって、心配になるくらい。
靴も綺麗に揃えられていて、やっぱり上流階級味を感じる。
結月君も結月君で、靴を脱いだ傍から、きちんとしゃがんで揃えてるし。
何気ないその動きを見るに、毎日やっているものと推測する。
君は偉い。
こういうところ、育ちが出るんだよなぁ…。気をつけよう。
結月君を倣って、同じように丁寧に靴を揃える。
緊張する…。
真菜や海咲の家に遊びに行ったことはあるけど、人の家を訪ねて、こんなに緊張したことはない。
何かのタイミングでボロが出て、無作法しちゃったらどうしよう。
叩き出される可能性大。
そして。
「…あの、星ちゃんさん」
「は、はい?」
緊張しながら、視線をぐるぐる彷徨わせ。
部屋の隅、廊下の隅、何処を見ても埃一つ落ちていないことに、感動の念を覚えていたところを、結月君に呼び止められた。
「まず、母に紹介しても良いですか?しきりに星ちゃんさんに会いたがってたので…」
「しょ、初っ端からラスボスなのね…!?」
「…ラスボス…?」
「あ、な、何でもない…」
つい、こっちの話が出てしまった。
勝手に人のお母さんを、ラスボス認定してしまっていた。
だってしょうがないじゃない。
事前情報から推察するに、厳しいお母さんなんでしょ?
この、家の中の几帳面っぷりを見ても分かる。
めちゃくちゃ神経質な人に違いない。
私なんてあれよ。あっという間に、通常攻撃一発でKOよ。
せめて、必殺技一回くらいは耐えたかった…。
しかし、今更逃げ出す訳にはいかず。
「じゃあ案内しますね。こっちです」
「は、はーい…」
私は恐る恐る、結月君についていった。
早速、ラスボスとご対面。