星と月と恋の話
「そ、その…。広いのに、お掃除が行き届いてますし。お庭も凄く綺麗で…」
「あぁ…」
そういうことか、とばかりにお母さんは頷いた。
そ、そう。そういうことです。
「あれね、全部結月がやってくれてるのよ」
と、お母さんは微笑みながら言った。
…え?
「結月君、が…?」
「そう。掃除だけじゃなくて…うちの家事全般は、ほぼ全てあの子がやってくれてるの」
…そ。
…そうなの?
「私は、ご覧の通り無様なものだから…。動けるときは家事もするんだけど。あの子、私に体力を消耗させることを嫌がってね。結局何でもかんでもやってもらってるわ」
「…」
私は、感心して目を見張った。
…料理、やってるのは知ってたけど。
お母さんのお仕事、手伝ってるっていう話も聞いてたけど。
それだけじゃなかった。
この綺麗なお家の掃除も、結月君がやってたんだ。
家事全般ってことは…お洗濯とかも含まれるよね?
そんな…じゃあ結月君、もう専業主婦じゃない。
学校に行きながら、家事全部引き受けてたんだ…。
「す…凄い、ですね…」
私は、思わずそう言ってしまっていた。
私にはとても無理だ。
学校に行きながら、家のことも全部こなすなんて。
「そうね。あの子には感謝しかないわ」
と、お母さんはしみじみと言った。
「あの子には父親がいないのよ。幼い頃から…。早くに事故で亡くなったから」
えっ。
お父さん…いないの?
そういえば、お母さんの話は何度か聞いたことがあったけど。
結月君のお父さんの話は、一度も聞いたことがない。
亡くなってたからなんだ…。
「じゃあ…その、結月君とお母さんの二人暮らしなんですか…?」
「そうよ。ずっとそう…。私がこんなに腑抜けなせいか、結月は幼い頃からしっかりしててね」
本当に…しっかりしてるよね。
「小さいときから、家事も私の仕事も手伝ってくれて…。その合間を縫って、勉強もして」
「…」
「中学校に入っても、部活もやらないで真っ直ぐ帰ってきて家のことをしてくれるわ。感謝してるけど…凄く申し訳ない。子供らしくのびのび遊ばせてあげたいのに…。それが出来ないから…」
…そっか。
結月君があんなに料理上手なのも。お母さんのお仕事を手伝ってるのも。
全部、お母さんを助ける為だったんだ…。
母一人、子一人の母子家庭で、身体が思うように動かせないお母さんの為に。
結月君は、しっかりした性格なんじゃない。
結月君がしっかりしてなきゃならないから、自然とそうなっただけなんだ…。
「あぁ…」
そういうことか、とばかりにお母さんは頷いた。
そ、そう。そういうことです。
「あれね、全部結月がやってくれてるのよ」
と、お母さんは微笑みながら言った。
…え?
「結月君、が…?」
「そう。掃除だけじゃなくて…うちの家事全般は、ほぼ全てあの子がやってくれてるの」
…そ。
…そうなの?
「私は、ご覧の通り無様なものだから…。動けるときは家事もするんだけど。あの子、私に体力を消耗させることを嫌がってね。結局何でもかんでもやってもらってるわ」
「…」
私は、感心して目を見張った。
…料理、やってるのは知ってたけど。
お母さんのお仕事、手伝ってるっていう話も聞いてたけど。
それだけじゃなかった。
この綺麗なお家の掃除も、結月君がやってたんだ。
家事全般ってことは…お洗濯とかも含まれるよね?
そんな…じゃあ結月君、もう専業主婦じゃない。
学校に行きながら、家事全部引き受けてたんだ…。
「す…凄い、ですね…」
私は、思わずそう言ってしまっていた。
私にはとても無理だ。
学校に行きながら、家のことも全部こなすなんて。
「そうね。あの子には感謝しかないわ」
と、お母さんはしみじみと言った。
「あの子には父親がいないのよ。幼い頃から…。早くに事故で亡くなったから」
えっ。
お父さん…いないの?
そういえば、お母さんの話は何度か聞いたことがあったけど。
結月君のお父さんの話は、一度も聞いたことがない。
亡くなってたからなんだ…。
「じゃあ…その、結月君とお母さんの二人暮らしなんですか…?」
「そうよ。ずっとそう…。私がこんなに腑抜けなせいか、結月は幼い頃からしっかりしててね」
本当に…しっかりしてるよね。
「小さいときから、家事も私の仕事も手伝ってくれて…。その合間を縫って、勉強もして」
「…」
「中学校に入っても、部活もやらないで真っ直ぐ帰ってきて家のことをしてくれるわ。感謝してるけど…凄く申し訳ない。子供らしくのびのび遊ばせてあげたいのに…。それが出来ないから…」
…そっか。
結月君があんなに料理上手なのも。お母さんのお仕事を手伝ってるのも。
全部、お母さんを助ける為だったんだ…。
母一人、子一人の母子家庭で、身体が思うように動かせないお母さんの為に。
結月君は、しっかりした性格なんじゃない。
結月君がしっかりしてなきゃならないから、自然とそうなっただけなんだ…。