星と月と恋の話
こうして。

奇しくも、家庭科の調理実習のときと全く同じグループ構成になって。

このメンバーで、動物園に行くことに決まった。

真菜や海咲は、不満たらたら。

さすがに結月君の前では言わなかったけど。

仏頂面を隠そうともしなかったし、いかにも「あんたの存在が迷惑です」と言わんばかり。

気持ちは…分からなくもないけど。

でも、そこまで露骨に態度を悪くしなくても良いのに…。

しかも。

ホームルームが終わって、結月君がこの場から去ると。

「あ〜、ついてないわー…」

海咲は、特大の溜め息をついた。

「まさか、三珠クンと動物園に行かなきゃならないとは…。本当ツイてないわよね」

「それもこれも、正樹がじゃんけんに負けるから…」

「しょうがないだろ!俺だって頑張ったんだよ!」

と、必死な正樹である。

「任せろって言ったじゃん」

「それはお前…あれだよ。うん…そうなんだよ」

どうなのよ。

「まぁ、負けたものは仕方ないんだから…。諦めて一緒に行けば良いじゃない」

私はそう言ったけれど。

「嫌よ。三珠クン一人いるだけでテンション下がるわ〜…」

「空気が重いよね〜…」

「あいつも空気を読んで、当日休んでくれたら良いんだけどな」

そんな…。

そこまで…結月君を邪険にしなくても良いのに…。

…でも。

「はぁ、本当ツイてないわ…」

海咲を筆頭に、私のグループはあからさまに落胆して溜め息をついていた。

結月君がいるからって、何がそんなに不満なのか…。

分からなくはないけど、でも、私は他の四人ほどではなかった。
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