星と月と恋の話
そして、迎えた翌週。

遠足の日。

「今日さぁ、お弁当フルーツサンド作ってもらったんだぁ」

「マジ?私達にも分けて〜」

動物園なんて子供っぽいとか、結月君と同じ班なんてうんざりするとか、あれこれ言いつつも。

何だかんだ当日を迎えてみると、楽しみの方が勝っているらしく。

真菜も海咲も、いつもよりハイテンション。

その気持ちは分かる。

私も、今日楽しみだったから。

…その一方で。

「ちぇっ…。あいつ来てんのかよ。休めば良かったのに」

正樹が、結月君の方を見ながら呟いた。

結月君は休むことなく、遠足に参加しに来ていた。

「良いじゃない、別に。こうなったからには、一緒に行くしかないんだから」

「そりゃそうだけどさぁ…。俺、バスであいつの隣の席は嫌だからな。誰か他の奴行ってくれ」

学校から動物園までは、貸し切りバスに乗っていくことになっている。

バスで、精々…一時間足らずかな。それくらいで着くと聞いている。

「私も絶対無理」

「私だって嫌よ」

真菜と海咲も、この反応。

まぁ、その気持ちは分からなくもないわよ。

私だって、罰ゲームで結月君と付き合う前は…結月君と10分一緒にいるだけでも、間が持たないと思ってたもの。

皆がそんなに嫌がるなら、私が結月君の隣に座っても良いけど…。

「しょうがないな、じゃ、俺があいつの隣に座るよ」

救世主隆盛が、自らそう申し出た。

おぉ。

「えっ、マジ?良いの?大丈夫?」

「うん、まぁ…行きだけな?帰りは他の奴に頼むよ」

とのこと。

なかなか勇気あるわね。

じゃ、帰りは私になるのかしら。

私達は6人グループで、バスの座席は二人がけなので、どうしても二人一組にならなきゃいけない。

例えどんなに嫌がっても、座席の数からして、誰かが結月君の隣に座らなきゃならないことになる。

これが奇数のグループなら、一人余ることになるから、結月君だけで座れるんだけどね。

そうは行かない。

「じゃ、隆盛頑張ってね〜」

「おー。任せろ」

そう言って。

私達は、それぞれバスに乗り込み。

私は、真菜の隣に。

海咲は、正樹の隣に。

そして結月君は、隆盛の隣に座って。

いざ動物園に向けて…出発。
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