星と月と恋の話
そもそもうさぎは、犬や猫と違って。
手を広げたら、人間に寄ってくるタイプの動物ではないのかもしれない。
と、今更ながらに気づいた。
向こうが来てくれるのを待つんじゃなく、こちらから抱っこしに行かないと。
多分、一生触れない。
その証拠に。
「あ、逃げる〜」
「ちょっとしか触らせてもらえないわ」
真菜と海咲も、うさちゃんの自由奔放ぶりに翻弄されているようだった。
二人共、うさぎを抱っこしにかかるのだが。
うさぎの方が、跳ね回って逃げるか。
あるいは、ちょっとだけ抱っこを許してくれて、「これ以上は有料ですから」とばかりに途中で逃げていく。
手厳しい。手厳しいわうさぎちゃん。
あなた達と触れ合うには、私達はまだ信頼が足りないと言うの?
そりゃまぁ、初対面なんだから仕方ないかもしれないけど。
でも、一緒に触れ合い体験に参加してる、あの女の子の親子。
あの女の子の膝には、茶色のうさぎがちょこんと座って。
大人しく、女の子が身体を撫でるのを許している。
何でよ。年齢が十歳ばかり違うだけで、私だって女の子でしょ。
小さい子には優しくて、高校生には塩対応。
もしかしてこの子達、そういう意志でもあるの?
でかい奴には触らせないとか、そういう決意でもあるの。
理不尽。
私だってあんな風に、うさぎを膝に抱っこして頭撫でてあげたい。
しかし。
「うさちゃんこっちに来て、こっち!」
こうなったら強制捕獲作戦、とばかりに。
こちらから腕を伸ばして、うさぎの身体を抱き上げようとするも。
何としても、貴様に捕まってたまるかとばかりに。
どのうさぎも、ぴょこぴょこ跳ねて、私の手から逃げる。逃げまくる。
何なら私が近寄っただけで、ぴょんぴょん逃げ回る始末。
何でよ。
私が何したって言うの。
うさぎに襲いかかる怪獣にでもなった気分。
意地になって、何とか一匹でも捕まえようとしたけど。
「星ちゃん、追いかけ回したら駄目だよ。さっき飼育員さんが言ってた」
「うぅ、そうだった…」
決して追い回したり、無理矢理抱っこしたりはしないでください、って。
体験コーナーが始まる前、説明されたものね。
でも、そうでもしなきゃ私、永遠にうさぎに触れないわ。
「私、まだ一撫でもしてないのよ。散々逃げられて」
「私達も、あんまり触れてないよ」
「めっちゃ警戒されてるわ〜。何でだろ」
何なの、これは。
もしかして、あれ?
心の汚い人には近寄らないという、動物の本能的なアレなの?
ぐぬぬ…。何でよ。私の心は充分綺麗じゃないの…。
大体、人間も高校生くらいになるとね、一つや二つくらい醜いところは生まれるのよ。
これじゃあ、小さい子以外、全然触れないじゃない。
折角触れ合い体験に参加したのに。
私達皆、うさぎの方に逃げられてばっかりで全然楽しめない。
「ねぇ結月君。君もさっきから、逃げられ、」
「よしよし…。はいはい、ちょっと待ってくださいね…。よしよし」
「!?」
振り向いた先で、私はとんでもない光景を目にすることになった。
手を広げたら、人間に寄ってくるタイプの動物ではないのかもしれない。
と、今更ながらに気づいた。
向こうが来てくれるのを待つんじゃなく、こちらから抱っこしに行かないと。
多分、一生触れない。
その証拠に。
「あ、逃げる〜」
「ちょっとしか触らせてもらえないわ」
真菜と海咲も、うさちゃんの自由奔放ぶりに翻弄されているようだった。
二人共、うさぎを抱っこしにかかるのだが。
うさぎの方が、跳ね回って逃げるか。
あるいは、ちょっとだけ抱っこを許してくれて、「これ以上は有料ですから」とばかりに途中で逃げていく。
手厳しい。手厳しいわうさぎちゃん。
あなた達と触れ合うには、私達はまだ信頼が足りないと言うの?
そりゃまぁ、初対面なんだから仕方ないかもしれないけど。
でも、一緒に触れ合い体験に参加してる、あの女の子の親子。
あの女の子の膝には、茶色のうさぎがちょこんと座って。
大人しく、女の子が身体を撫でるのを許している。
何でよ。年齢が十歳ばかり違うだけで、私だって女の子でしょ。
小さい子には優しくて、高校生には塩対応。
もしかしてこの子達、そういう意志でもあるの?
でかい奴には触らせないとか、そういう決意でもあるの。
理不尽。
私だってあんな風に、うさぎを膝に抱っこして頭撫でてあげたい。
しかし。
「うさちゃんこっちに来て、こっち!」
こうなったら強制捕獲作戦、とばかりに。
こちらから腕を伸ばして、うさぎの身体を抱き上げようとするも。
何としても、貴様に捕まってたまるかとばかりに。
どのうさぎも、ぴょこぴょこ跳ねて、私の手から逃げる。逃げまくる。
何なら私が近寄っただけで、ぴょんぴょん逃げ回る始末。
何でよ。
私が何したって言うの。
うさぎに襲いかかる怪獣にでもなった気分。
意地になって、何とか一匹でも捕まえようとしたけど。
「星ちゃん、追いかけ回したら駄目だよ。さっき飼育員さんが言ってた」
「うぅ、そうだった…」
決して追い回したり、無理矢理抱っこしたりはしないでください、って。
体験コーナーが始まる前、説明されたものね。
でも、そうでもしなきゃ私、永遠にうさぎに触れないわ。
「私、まだ一撫でもしてないのよ。散々逃げられて」
「私達も、あんまり触れてないよ」
「めっちゃ警戒されてるわ〜。何でだろ」
何なの、これは。
もしかして、あれ?
心の汚い人には近寄らないという、動物の本能的なアレなの?
ぐぬぬ…。何でよ。私の心は充分綺麗じゃないの…。
大体、人間も高校生くらいになるとね、一つや二つくらい醜いところは生まれるのよ。
これじゃあ、小さい子以外、全然触れないじゃない。
折角触れ合い体験に参加したのに。
私達皆、うさぎの方に逃げられてばっかりで全然楽しめない。
「ねぇ結月君。君もさっきから、逃げられ、」
「よしよし…。はいはい、ちょっと待ってくださいね…。よしよし」
「!?」
振り向いた先で、私はとんでもない光景を目にすることになった。