星と月と恋の話
「でも、ぬいぐるみは駄目なんだ」
そうですか。
「お嬢さん、ぬいぐるみで遊ぶのは嫌いなんですか」
まぁ、そういうお子さんもいるだろう。
女児だからって、皆がぬいぐるみ好きとは限らない。
と、思ったが。
そうではなかった。
「いや、そういうことじゃない。ぬいぐるみ自体は喜んでくれたんだが…」
「え、プレゼントしたことあるんですか?」
「誕生日にあげた」
成程、既にあげてたんですね。
誕生日に。
じゃ、誕生日にぬいぐるみで、クリスマスにもぬいぐるみじゃワンパターン過ぎるか…。
「そうしたら、妻に怒られた」
は?
「…何したんですか?」
娘にぬいぐるみをプレゼントして、妻に怒られるって。
何事ですか、それは。
余程変なぬいぐるみを渡したんだろうか。ナイルワニのぬいぐるみとか?
存在するんだろうか。そんなぬいぐるみ…。
「クマのぬいぐるみを渡したんだ」
「テディベアですか」
「折角なら大きいクマが良いと思って、2メートル越えのクマを買って渡した」
「…」
「そうしたら…妻に怒られた。烈火のごとく」
「…そりゃ怒られますよ」
何をプレゼントしてるんですか。
2メートル越えって。お嬢さんの身長の2倍以上あるのでは?
ってか、そんなものが売ってるんですね。
「限度ってものがあるでしょうよ」
「妻にもそう言われた…」
言いますよ。当たり前でしょ。
そんなに大きかったら持ち運べないし。置き場所に困るし。
どうやって扱うんですか。
「でも、娘は割と喜んでくれた」
「それは良かったですね」
そこまでして巨大テディベアを買って、奥さんに怒られ。
ついでに娘さんからもそっぽを向かれたんじゃ、クマが報われない。
いくらお嬢さんが喜んでくれたとしても、奥さんに怒られるなら、ぬいぐるみ案はナシだな。
「それで、プレゼントに困って、色々チラシを眺めて候補を考えてるんだが…」
色とりどりのチラシをパラパラ捲りながら、加賀宮さんは呟いた。
「色々あり過ぎて、むしろ何にすれば良いのか分からない」
「…そうですか」
それは困りましたね。
しかし、今時新聞広告を見てプレゼントを決める人っているんですかね。
スーパーのチラシを心待ちにして、タイムセールの情報を収集している僕が言って良いことじゃないか。
女の子へのプレゼント…か。
僕は女子じゃないから、何が欲しいか分からない。
僕じゃなくて星ちゃんさんなら、同じ女子同士、欲しいものがわか…。
…って、何を考えてるんだって。
「…?どうした?」
「…何でもないです」
軽く頭を振って、僕は彼女のことを頭の中から追い出した。
何であの人のことを思い出すのだ。もういい加減にしろ。
自分の頭で考えろ。
そうですか。
「お嬢さん、ぬいぐるみで遊ぶのは嫌いなんですか」
まぁ、そういうお子さんもいるだろう。
女児だからって、皆がぬいぐるみ好きとは限らない。
と、思ったが。
そうではなかった。
「いや、そういうことじゃない。ぬいぐるみ自体は喜んでくれたんだが…」
「え、プレゼントしたことあるんですか?」
「誕生日にあげた」
成程、既にあげてたんですね。
誕生日に。
じゃ、誕生日にぬいぐるみで、クリスマスにもぬいぐるみじゃワンパターン過ぎるか…。
「そうしたら、妻に怒られた」
は?
「…何したんですか?」
娘にぬいぐるみをプレゼントして、妻に怒られるって。
何事ですか、それは。
余程変なぬいぐるみを渡したんだろうか。ナイルワニのぬいぐるみとか?
存在するんだろうか。そんなぬいぐるみ…。
「クマのぬいぐるみを渡したんだ」
「テディベアですか」
「折角なら大きいクマが良いと思って、2メートル越えのクマを買って渡した」
「…」
「そうしたら…妻に怒られた。烈火のごとく」
「…そりゃ怒られますよ」
何をプレゼントしてるんですか。
2メートル越えって。お嬢さんの身長の2倍以上あるのでは?
ってか、そんなものが売ってるんですね。
「限度ってものがあるでしょうよ」
「妻にもそう言われた…」
言いますよ。当たり前でしょ。
そんなに大きかったら持ち運べないし。置き場所に困るし。
どうやって扱うんですか。
「でも、娘は割と喜んでくれた」
「それは良かったですね」
そこまでして巨大テディベアを買って、奥さんに怒られ。
ついでに娘さんからもそっぽを向かれたんじゃ、クマが報われない。
いくらお嬢さんが喜んでくれたとしても、奥さんに怒られるなら、ぬいぐるみ案はナシだな。
「それで、プレゼントに困って、色々チラシを眺めて候補を考えてるんだが…」
色とりどりのチラシをパラパラ捲りながら、加賀宮さんは呟いた。
「色々あり過ぎて、むしろ何にすれば良いのか分からない」
「…そうですか」
それは困りましたね。
しかし、今時新聞広告を見てプレゼントを決める人っているんですかね。
スーパーのチラシを心待ちにして、タイムセールの情報を収集している僕が言って良いことじゃないか。
女の子へのプレゼント…か。
僕は女子じゃないから、何が欲しいか分からない。
僕じゃなくて星ちゃんさんなら、同じ女子同士、欲しいものがわか…。
…って、何を考えてるんだって。
「…?どうした?」
「…何でもないです」
軽く頭を振って、僕は彼女のことを頭の中から追い出した。
何であの人のことを思い出すのだ。もういい加減にしろ。
自分の頭で考えろ。