星と月と恋の話
私の今の状況について、真菜達に相談する気にもなれなかった。

何て言えば良いのだ。こんな情けないこと。

想像してみる。「結月君は私達の罰ゲームに気づいていて、手酷く罵られたんだよね」と打ち明けたら、皆がどんな反応をするか。

分かってる。きっと、皆笑うだろう。

「三珠クンも案外鋭いじゃんw」って。「気づいてたのかよw」って。

結月君を馬鹿にして、彼らは笑うだろう。

私だって、真菜達の立場だったら、きっと同じことをしただろうから。

結月君のことを笑い飛ばして、馬鹿にして、面白がって…それで平気だっただろうから。

だけど今の私には、とても笑い飛ばして済ませることは出来なかった。

どうして笑えるだろう。

私は、結月君を傷つけたのに。

人を馬鹿にして傷つけて、ヘラヘラ笑っていることなんてもう出来なかった。

そんな自分がどれほど幼かったことか、今なら分かるから。

かと言って、真菜達に「笑い事じゃないんだよ」と諭す勇気もなかった。

どの口で、どの面下げてそんなことが言えるだろう。

「私達がしたのは酷いことで、許されないことなんだよ」なんて、どうして今更そんなことが言えるだろう。

今更偽善者ぶったって、もう遅い。

ついこの間まで、私だって真菜や正樹達の味方だったんだから。

結月君を馬鹿にして笑って、それで平気だったんだから。

そんな私が、真菜達に説教する資格はない。

かと言って、一緒になって笑うことも出来ない。

だから真菜達に会いたくないのだ。

今の私は、もう彼女達と同じようには笑えない。

自分の幼稚さに、その愚かさに気づいてしまったからには。

真菜達に相談は出来ない。

かと言って、自分から結月君に謝ることも出来ない。

だから、あれこれ言い訳して、真菜達に会わないようにして。逃げ回って。

本当に、私は卑怯だ。

卑怯な人間だ。結月君の言う通り。

あんなに結月君に手酷く罵られて、深く傷ついているのに。

それでも脳裏によぎるのは、結月君の姿だけ。

心の中に思い浮かぶのは、結月君の言葉だけ。

いつまでも、ずっと…忘れられないままなのだ。
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