星と月と恋の話
…結月君。
彼の姿を見るのは、あの日…クリスマスイブ以来だ。
あの日の蔑みの目を、昨日のことのように思い出して。
私は、思わず背筋が冷たくなった。
私は結月君を見つめたけど。
結月君がこちらを見ることはなかった。
私が見ていることなど、まるで気づいていないかのように。
あるいは気づいていたとしても、彼がこちらに視線を送る必要はない。
結月君にとっては。
私達など、低俗なクラスメイトの一人でしかない。
それどころか、下らない罰ゲームで自分を苦しめた敵でしかないのだから。
結月君はこちらを向くことなく、真っ直ぐに自分の席に向かった。
びくびくしている私とは対象的に、堂々とした態度だった。
当然だ。
彼には何の非もない。
何も悪くないのだから、堂々としているだろう。
罪悪感を抱えているのは、私だけ…。
…ねぇ、お願い。こっちを見てよ。
私、君に謝りたいんだよ…。
心の中でそう願っても、それは儚い望みでしかなかった。
結月君は、チラリともこちらを見ることなく自分の席についた。
「失恋のショックからは立ち直ったって感じ?」
「強がってんじゃない?内心超ショック受けてたりして〜」
真菜と海咲は、そう言って茶化して笑った。
…それは有り得ないよ。
彼にとっては失恋でも何でない。
内心死ぬほど落ち込んで、それでも頑張って強がろうとしているのは…私の方だ。
「まっ、とにかく罰ゲーム終了、おめでとう」
「う、うん…」
私は真菜の励ましに、曖昧に頷いた。
「星ちゃん、今日の放課後は空いてる?」
え?
真菜からの突然の問いに、私は戸惑ってしまった。
「お疲れ会。冬休みの間に出来なかったからさ。今日やろうよ」
き、今日?そんな…いきなり。
「あ、それ良いねぇ。今日は始業式だけで、授業ないしね」
海咲まで。
「正樹と隆盛にも、声かけてみるよ」
「え、いや…。で、でも…そんないきなり…」
「え?良いじゃん」
そうだね。
これまでの私だったら、躊躇いなく了承していただろう。
だけど、今は…。
「大体、星ちゃんは奢られる側なんだから、財布の用意も何も要らないでしょ?」
「そ、それは…そうだけど」
「今日はまだ部活も始まってないし。丁度良いでしょ」
そんな…。
お疲れ会…本当にやるの…。
しかも。
「あ、隆盛だ」
運の悪いことに、そこに隆盛が登校してきて。
「隆盛ー!今日の放課後、お疲れ会行こうって!」
ば、馬鹿。真菜。
真菜は教室中に聞こえる声で、登校してきた隆盛に声をかけた。
「おー!了解!正樹にも言っとくよ」
「宜しく〜!」
私は、真菜達の会話を聞いていなかった。
私達の言う「お疲れ会」が、何の集まりか。
聡い結月君なら、きっと気づいているだろうと思った。
きっと彼は気を悪くしているはずだ。
…でも。
彼の姿を見るのは、あの日…クリスマスイブ以来だ。
あの日の蔑みの目を、昨日のことのように思い出して。
私は、思わず背筋が冷たくなった。
私は結月君を見つめたけど。
結月君がこちらを見ることはなかった。
私が見ていることなど、まるで気づいていないかのように。
あるいは気づいていたとしても、彼がこちらに視線を送る必要はない。
結月君にとっては。
私達など、低俗なクラスメイトの一人でしかない。
それどころか、下らない罰ゲームで自分を苦しめた敵でしかないのだから。
結月君はこちらを向くことなく、真っ直ぐに自分の席に向かった。
びくびくしている私とは対象的に、堂々とした態度だった。
当然だ。
彼には何の非もない。
何も悪くないのだから、堂々としているだろう。
罪悪感を抱えているのは、私だけ…。
…ねぇ、お願い。こっちを見てよ。
私、君に謝りたいんだよ…。
心の中でそう願っても、それは儚い望みでしかなかった。
結月君は、チラリともこちらを見ることなく自分の席についた。
「失恋のショックからは立ち直ったって感じ?」
「強がってんじゃない?内心超ショック受けてたりして〜」
真菜と海咲は、そう言って茶化して笑った。
…それは有り得ないよ。
彼にとっては失恋でも何でない。
内心死ぬほど落ち込んで、それでも頑張って強がろうとしているのは…私の方だ。
「まっ、とにかく罰ゲーム終了、おめでとう」
「う、うん…」
私は真菜の励ましに、曖昧に頷いた。
「星ちゃん、今日の放課後は空いてる?」
え?
真菜からの突然の問いに、私は戸惑ってしまった。
「お疲れ会。冬休みの間に出来なかったからさ。今日やろうよ」
き、今日?そんな…いきなり。
「あ、それ良いねぇ。今日は始業式だけで、授業ないしね」
海咲まで。
「正樹と隆盛にも、声かけてみるよ」
「え、いや…。で、でも…そんないきなり…」
「え?良いじゃん」
そうだね。
これまでの私だったら、躊躇いなく了承していただろう。
だけど、今は…。
「大体、星ちゃんは奢られる側なんだから、財布の用意も何も要らないでしょ?」
「そ、それは…そうだけど」
「今日はまだ部活も始まってないし。丁度良いでしょ」
そんな…。
お疲れ会…本当にやるの…。
しかも。
「あ、隆盛だ」
運の悪いことに、そこに隆盛が登校してきて。
「隆盛ー!今日の放課後、お疲れ会行こうって!」
ば、馬鹿。真菜。
真菜は教室中に聞こえる声で、登校してきた隆盛に声をかけた。
「おー!了解!正樹にも言っとくよ」
「宜しく〜!」
私は、真菜達の会話を聞いていなかった。
私達の言う「お疲れ会」が、何の集まりか。
聡い結月君なら、きっと気づいているだろうと思った。
きっと彼は気を悪くしているはずだ。
…でも。