星と月と恋の話
え?ここで?

…あ、なんか言ってたっけ。途中までしか帰れないって。

ま、良いか。

家まで一緒に帰って、家族に結月君の姿見られたら、恥ずかしくて何て言ったら良いか分からないもん。

「うん、分かった。ここまでね」

多分結月君はこれから、塾にでも行くのだろう。

真面目なガリ勉君。

勉強なんて、程々で良いと思うけどなぁ。

なんて考えだから、私はいつも、平均以下の成績をうろうろしてるんだろうなぁ。

赤点じゃなきゃ良いのよ。

「じゃあ、また明日ね」

「はい、また明日」

結月君はそう言って、くるりと踵を返し、曲がり角を曲がって行ってしまった。

…ふぅ。

結月君の姿が、完全に見えなくなってから。

「…あー、疲れた…」

私は道のど真ん中で、思いっきり脱力した。

…好きでもない人と一緒に帰るのが…これほどしんどいとは。

しかも、こんなのまだ序の口でしょ?

三ヶ月の期限は、まだまだたっぷり残っている。

週3で一緒に帰るんだから、明日か明後日にでも、また今日みたいに一緒に下校しないといけない。

うぅ。想像しただけでうんざりする。

正樹の奴…本当に、とんでもない罰ゲームを思いついたものだ。

あんたが思ってるより、この罰ゲームは大変よ。
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