星と月と恋の話
――――――…星野さんが、何を考えているかなんて。

僕にはどうでも良いことで、最早興味関心もなかった。

お疲れ会?どうぞお好きに。

その打ち上げでまたおかしな勝負をして、また愚かな罰ゲームでも提案してるんじゃないだろうか。

次のターゲットは誰だ?

もう僕は使えないから、今度はAクラスの車椅子の男子か?

それとも、転入生の久露花さんか?

野良犬並みの学習能力もない彼女達なら、きっと懲りずにまたやるだろう。

好きにすれば良い。

僕にはもう関係ない。

何だかあれ以来、星野さんは仲間達とぎくしゃくしているようで。

「星ちゃん、どうしちゃったんだろう?」と、お友達が相談している声が聞こえてきたこともあったが。

僕には関係ない。

もしかしたら、クリスマスイブのあの日、僕に散々痛めつけられたのがまだ効いているのかもしれないが。

自業自得だ。

僕が罪悪感を感じる必要はない。言いたいことを言ってやっただけだ。

…それにしても。

もし本当に、星野さんが僕のことで未だに罪悪感を引き摺っているのだとしたら。

案外彼女も、殊勝なところがあるものだ。

まぁそれはないか。

精々、生まれて初めて、あれほど他人に罵倒されたものだから。

温室育ちのお嬢様には、刺激が強過ぎたのだろう。

いずれにしても。

何度も言うように、僕には関係ない。

関係ない、関係ない、関係ない…と。

一日に何度も考えては「関係ないなら考えるなよ」と、自分にツッコミを入れている。

僕は、そんな毎日を送っていた。

気を紛らすように、家事に集中して、母の仕事の手伝いに集中して。

勉強に集中して、それでも駄目なら、師匠にぶん投げてもらって。

そうやって、落ち着かない毎日を過ごしていた。




…そんな矢先だった。

放課後。いつも通り、買い物に寄って帰ろうとしていた僕のもとに。

「おい、ちょっと顔貸せよ」

険しい顔をした菅野さんが、僕を呼び止めた。
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