星と月と恋の話
第12章
――――――…結月君と別れて、三学期が始まって。

もうすぐ、結月君と別れてから一ヶ月がたつ。

今の私は、自分の気持ちをはっきりと自覚していた。

いい加減、彼のことは忘れなければならない。

でも、忘れられずにいた。

忘れようと思っても、どれほど忘れたくても忘れられない。

私の様子がおかしいことに、真菜達も気づき始めていた。

何かあったのかとか、大丈夫かとか、色々聞かれた。

隆盛なんか、特に様子がおかしかった。

何を聞かれても、私は何も答えられずにいた。

ただ「心配しなくても大丈夫だよ」と、繰り返すだけだった。

話したところで、理解してもらえることじゃない。

これは、私が抱えなければならない問題。

毎日毎日スマートフォンを握り締めて、来るはずのない結月君からの連絡を待ち続け。

教室の中では、彼がこちらを向いてはくれないかと、ずっと結月君の背中を見つめる。

だけど、結月君の方から私に声をかけてくれることはなかった。

当たり前だ。

私は未だに、結月君の優しさに縋っていたいのだ。

…これじゃあ駄目だ。

このままじゃ、私はずっと結月君の影を引き摺ることになる。

それに、何より…自分を許せない。

だから私は震える手で、メール作成画面を開いた。

書いては消し、書いては消しを繰り返し。

ようやく私は、送信ボタンを押した。

どれだけ待っても、返信は来なかった。
< 271 / 458 >

この作品をシェア

pagetop