星と月と恋の話
「…結月君は…悪くないよ」

「そうかもしれませんね。でも…謝りたかったんです」

あなたに、涙を流させてしまったことを。

ずっと後悔していた。無意識に。

そして、その上で。

「謝らなきゃいけないのは、私の方だよ…結月君を、たくさん傷つけてしまった…」

「…そうですね。でも…僕は、あなたを許します」

「…え?」

…結局、師匠の言った通りになってしまった。

全くあの人と来たら、鈍いんだか、鋭いんだか…。

「許し以外に…あなたに与えられるものは何もないから。だから、僕はあなたを許します」

「そんな…。許してくれるの…?こんなに…馬鹿な私を…」

「えぇ。…許します」

そうと決めたら、心が楽になった。

意地を張っていたのが馬鹿みたいだ。

「あなたがちゃんと反省しているのなら…それで良いです」

「結月君…。君って人は、何でこんなときまで…私に優しくするのかなぁ…」

さて、何でででしょう。

「…まだ僕はあなたのこと、信じたいと思ってるからでしょうかね?」

「…そんな風に思ってくれるの?まだ?」

…信じたい、とは少し違うな。

信じているからだ。

例え罰ゲームの関係だったのだとしても。

きっかけなんて、どうでも良い。

一緒に過ごしたこの三ヶ月の日々は、決して偽りではなかった。

僕は、そう信じているから。

「…もう一度、信じても良いですか」

「…結月君…」

「信じさせてくれますか。…今度こそ…僕達の思いは、偽物ではないのだと」

「…うん」

星野さんは、微笑んでいるのか、泣いているのか。

顔をくちゃくちゃにして、何度も頷いた。

「君がもう一度…チャンスをくれるなら。私は絶対、君を裏切らない。もう二度と…間違えたりしないよ」

…そうですか。

あなたがそう言うなら。それなら、僕も。
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