星と月と恋の話
「でもほら、料理は見た目…も大事ですけど、やっぱり一番大事なのは味じゃないですか」

…非の打ち所がない、完璧なお弁当を持ってきてる人に言われてもね。

慰められるどころか、傷口に塩を塗られてる気分だわ。

「美味しかったら、多少見た目が悪くても大丈夫ですよ」

「そうね…。美味しかったら、見た目が悪くても良いわよね…」

「…ところで、一つだけ聞いても良いですか?」

「…何よ。一つと言わず、二つ三つ聞いてくれても良いのよ」

ここまで来たら、もう自棄っぱちよ。

「そのウインナー…の、残骸は何なんですか…?」

「…これはタコさんウインナーならぬ…エイリアンさんウインナーよ」

「えっ、エイリアン…?」

どうよ。新感覚で面白いでしょ。

エイリアンの形をしたウインナーなんて、なかなかお目にかかれないわよ。

「知らないの?最近SNSで流行ってるのよ、このエイリアンウインナー」

「そ、そうなんですか。世の中って分からないものですね…」

信じるのね。

よし、もうそういうことにしておこう。

結月君がSNSやってなくて、助かったわ。

「と、とにかく食べましょう。昼休みの時間がなくなっちゃいますから」

「そうね」

こんなお弁当でも、一応、ちゃんと食べ物なんだから食べるわよ。

食べないと、午後の授業が持たないものね。

何だか、変にしょっぱい気がするけど。

きっと塩を入れ過ぎたのね、そうに違いないわ。
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