星と月と恋の話
「結月君に手作りチョコなんて…結月君にとっては、片腹痛いのかもしれない…」

「何それ。深く考え過ぎでしょ」

あなた達は、結月君の家事能力スキルを知らないからそう言えるのよ。

特に料理スキルに関しては、私なんて太刀打ち出来ないから。

足元に及ばないどころか、足の指の先っちょにも及ばないから。

実際、それくらいの差があるのよ。

そんな私が手作りチョコを作っても、結月君の舌を満足させられるとは思えない。

「別に既製品でも良いじゃん。こういうのは、モノじゃなくて気持ちでしょ?」

と、真菜が言った。

…それは…そうなんだけど。

「そうそう。三珠クンなんて、明らかにバレンタインぼっちじゃん?例え既製品だろうが、チロルチョコだろうが、女の子にチョコレートもらえたら喜ぶって」

「…」

…海咲、あなたは何も分かってない。

結月君はね、そんなに単純な人ではないのよ。

あれで、結構辛辣に物を言うときがあるからね。

こちらが軽んじていたら、そういうの全部見透かしてくるから。

…とにかく。

手作りチョコ…には、未練があるけど。

やっぱり、既製品を買いに行く方が無難だよね…。

下手して失敗したら、後悔するどころじゃ済まないし…。

「…よし。やっぱり買いに行こう」

ついでに、友チョコとマイチョコも買ってこよう。

手作りじゃなくても、結月君は喜んでくれるはずだ。

…そもそも結月君、バレンタイン知ってるのかなぁ?

「二人共、週末付き合ってくれる?チョコレート買いに…」

「オッケーオッケー。良いよ」

「私もチョコ欲しかったから、丁度良いや」

良かった。

じゃあ、せめてちょっとお高いチョコを買おう。
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