星と月と恋の話
「あのね結月君…。実は私もチョコレート持ってきたの…」
「え、そうなんですか?」
「えぇ、そうよ…」
全てを諦めた私は、先程カバンの中に封印したチョコレートを取り出した。
短い封印だったわね。
この白い紙袋の中には、結月君に渡すチョコレートが入っている。
…あぁ。
何だか、これから判決を受ける被告人になった気分よ。
「私はその…手作りじゃなくて、既製品を買ってきたの。土曜日に真菜と海咲の三人で買いに行って…」
と、私は目を泳がせながら説明した。
「あ、成程。それで先約があるって言ってたんですね」
…そうなのよ。
もし今、あの日に戻れるなら。
「紅茶味のチョコレートはやめておきなさい!無難な味に逃げなさい!」と、自分に警告するわ。
もう遅いけどね。
「それで…買ってきたんだけど…。…結月君が喜ぶチョコレートじゃないかもしれない」
って言うか、結月君は喜ばないと思う。
抹茶味が好きな結月君に、紅茶味は…。
うぅ、私の馬鹿。
何であんな無謀な挑戦をしてしまったのか。
「そうなんですか?僕が喜ばないチョコレート…。…めちゃくちゃ甘いとか?」
「そうじゃないの…。味が…味がね…」
「大丈夫ですよ。僕、人からチョコレートをもらったことがないので。もらえるものなら何でも喜びます」
そう。
そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。
でもどうせなら「こういうの欲しかったんですよ〜」と言って欲しかったのよ。
君は優しいから、何を渡しても喜んでる…振りをしてくれるでしょうね。
…仕方がない。覚悟をして渡そう。
…と、その前に。
私は紙袋の中に、ズボッと手を突っ込み。
赤いリボンのラッピングバッグを掴み、それを取り出して、自分のカバンに放り込んだ。
よし。
「はい、じゃあこれ…チョコレート」
「え?あ、はい…。…?今、何を取り出したんですか?」
私は何も聞こえなかったわ。
「実はそれ…紅茶味のチョコレートなのよ。結月君、紅茶味って好き…?」
「紅茶味?それは珍しいですね。紅茶味は好きですよ」
えっ。
「そうなの?抹茶味が好きなんだと思ってた」
「抹茶味も好きですけど…。紅茶味も好きですよ。良い香りがするので」
そ、そうなんだ。
結月君の守備範囲って、結構広いのね。
甘過ぎなければ、いちご味でもソーダ味でも何でもOKなのかもしれない。
ソーダ味のチョコレートは…さすがに探すの難しそうだけど。
「それより、さっき何を取り出したんですか?」
私は何も聞こえなかったわ。
「良かったぁ。買ったは良いけど、結月君、紅茶味嫌いなんじゃないかって不安で…」
「そんなことはないですよ。全然」
「そっか。売り場で味見させてもらったけど、凄く美味しかったから。期待してね」
「ありがとうございます、大事に食べますね」
やった。良かった。
喜んでもらえたようで。
「…それで、さっき何を隠したんですか?」
「…」
…私は何も…。
…聞こえなかったことに、しちゃ駄目ですか。
駄目よね、うん。やっぱり?
「え、そうなんですか?」
「えぇ、そうよ…」
全てを諦めた私は、先程カバンの中に封印したチョコレートを取り出した。
短い封印だったわね。
この白い紙袋の中には、結月君に渡すチョコレートが入っている。
…あぁ。
何だか、これから判決を受ける被告人になった気分よ。
「私はその…手作りじゃなくて、既製品を買ってきたの。土曜日に真菜と海咲の三人で買いに行って…」
と、私は目を泳がせながら説明した。
「あ、成程。それで先約があるって言ってたんですね」
…そうなのよ。
もし今、あの日に戻れるなら。
「紅茶味のチョコレートはやめておきなさい!無難な味に逃げなさい!」と、自分に警告するわ。
もう遅いけどね。
「それで…買ってきたんだけど…。…結月君が喜ぶチョコレートじゃないかもしれない」
って言うか、結月君は喜ばないと思う。
抹茶味が好きな結月君に、紅茶味は…。
うぅ、私の馬鹿。
何であんな無謀な挑戦をしてしまったのか。
「そうなんですか?僕が喜ばないチョコレート…。…めちゃくちゃ甘いとか?」
「そうじゃないの…。味が…味がね…」
「大丈夫ですよ。僕、人からチョコレートをもらったことがないので。もらえるものなら何でも喜びます」
そう。
そう言ってくれるのは嬉しいんだけど。
でもどうせなら「こういうの欲しかったんですよ〜」と言って欲しかったのよ。
君は優しいから、何を渡しても喜んでる…振りをしてくれるでしょうね。
…仕方がない。覚悟をして渡そう。
…と、その前に。
私は紙袋の中に、ズボッと手を突っ込み。
赤いリボンのラッピングバッグを掴み、それを取り出して、自分のカバンに放り込んだ。
よし。
「はい、じゃあこれ…チョコレート」
「え?あ、はい…。…?今、何を取り出したんですか?」
私は何も聞こえなかったわ。
「実はそれ…紅茶味のチョコレートなのよ。結月君、紅茶味って好き…?」
「紅茶味?それは珍しいですね。紅茶味は好きですよ」
えっ。
「そうなの?抹茶味が好きなんだと思ってた」
「抹茶味も好きですけど…。紅茶味も好きですよ。良い香りがするので」
そ、そうなんだ。
結月君の守備範囲って、結構広いのね。
甘過ぎなければ、いちご味でもソーダ味でも何でもOKなのかもしれない。
ソーダ味のチョコレートは…さすがに探すの難しそうだけど。
「それより、さっき何を取り出したんですか?」
私は何も聞こえなかったわ。
「良かったぁ。買ったは良いけど、結月君、紅茶味嫌いなんじゃないかって不安で…」
「そんなことはないですよ。全然」
「そっか。売り場で味見させてもらったけど、凄く美味しかったから。期待してね」
「ありがとうございます、大事に食べますね」
やった。良かった。
喜んでもらえたようで。
「…それで、さっき何を隠したんですか?」
「…」
…私は何も…。
…聞こえなかったことに、しちゃ駄目ですか。
駄目よね、うん。やっぱり?