星と月と恋の話
しかも、よく見たら。

コンビニスイーツの種類が、一種類じゃないの。

こっちのプリンはS社のコンビニ、こっちのチーズケーキはF社のコンビニ、こっちのシュークリームはL社のコンビニ…みたいな。

もしかして。

「コンビニ三軒、はしごしてきたの…?」

「あぁ。放課後になってすぐ、学校の周りを走ってきたよ」

隆盛は、何でもないことのように言うけど。

うちの学校の周りには、そんなに都合良く三社のコンビニが並んでいる訳じゃない。

特にLコンビニは、学校から一番近いところでも、歩いて30分近くかかる。

それなのに、わざわざ買いに行ってくれたの?

「あ、あ…ありがとう、隆盛…」

「気にすんな。でも、ダイエットはもうやめとけよ?」

隆盛は、苦笑いでそう言った。

うっ…。隆盛までそんなこと言うのね。

正直、今日はもう説教は聞き飽きた気分だわ。

怒られるようなことをする私が悪いんだけど…。

「ずっとお菓子断ちしてたんだろ?今日くらいは遠慮なく食べろよ」

「ありがと〜…。隆盛」

女神。今、隆盛が女神に見えてる。

女じゃないのに。

…早速、嬉し懐かし、コンビニスイーツに手を伸ばしかけた…が。

「…良いんですか?暴飲暴食すると、今度はリバウンドしますよ」

「うぐっ」

結月君が現実を突きつけてきた。

そうでした。

よく分かってるよ結月君。私ってば、すぐ調子に乗るから。

「だ、大丈夫よ結月君…。これだけ、ひとまず今日は、このプリンだけにするから。それなら良いでしょ?」

「本当にプリンだけなら良いですよ。でもあなたのことだから、寝る前くらいになったら『やっぱりシュークリームも食べちゃお!』とか言って、貪ってるんじゃないかと思って…」

本ッ当に結月君、君は私のことをよく分かってるよ。

台詞まで、まんま私の完全再現。

「だ、大丈夫よ。絶対。己の欲には負けないわ」

「そうですか。…アル中になる人も、大抵そう言いながらお酒飲んでますよね」

そ、そ、それはそうだけど。

…すると。

「そういう言い方はないだろ」

隆盛が結月君に向かって、再び棘のある口調で諌めた。
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