星と月と恋の話
「え。あの人、そんなにしつこいんですか?」

実は昨日…と、隆盛のことを結月君に話したら。

結月君は、この反応だった。

身も蓋もない。

「…結月君…」

「唯華さんのこと好きなのは、前から知ってましたけど。一度断られたのに、よくそんな高価なプレゼントを用意して、再度アタック出来ますね。断られたら無駄になるのに…」

そういうことじゃない。

きっと隆盛にとっては、そういうことではないのよ。

結月君ほどドライじゃないの、きっと。

「…まぁでも、人のこと言えませんね。唯華さんが菅野さんの告白を断ってくれてなかったら、僕が今日持ってきたプレゼントも、無駄になるところだった」

一日おいて、ようやく。

結月君から誕生日を祝ってもらう日がやって来た。

何だか、昨日は凄く長い一日だった気がするわ。

「ケーキとプレゼント、どちらを先に見たいですか?」

「そうだな…。…まずケーキかな?」

「分かりました。じゃあケーキをどうぞ」

結月君は、持ってきたケーキボックスを開いた。

すると、出てきたのは。

「うわぁ…」

いちごと、その他フルーツがたっぷり乗ったデコレーションケーキだった。

割とオーソドックスなところに落ちついたのね。

「お店で売ってるのみたい。さすが、上手ね」

「上手に見えるだけで、実はコソコソ練習してたんですよ」

「そうなの?」

「えぇ。本番で失敗しなくて良かった」

結月君って努力家だよね。

そういうところ、好きだわ。

「何度も言うように、洋菓子はあまり得意ではないので…美味しくないかもしれませんが」

「結月君が作ってくれたものなら、何でも美味しいわよ」

「ついでに、唯華さんはコンビニスイーツ中毒なので、いつものコンビニスイーツに比べたら美味しくないかもしれませんが…」

「…中毒で悪かったわね。結月君の作ってくれたものなら、例え美味しくなくても食べるわよ」

お店のものと手作りは違うって、いくら馬鹿でも、私だって分かってるわよ。

コンビニスイーツはコンビニスイーツ。手作りは手作りで、それぞれ長所があるのよ。

特別感が段違いじゃないの。

「早速食べてみても良い?」

「良いですけど、その前にプレゼントは見なくて良いんですか?」

「あ、そうだった」

もうこのケーキがプレゼントのつもりでいたわ。

勿論、ケーキもプレゼントの一つなんだけど。

「実はこちらも、僕の手作り…と言うか、手縫いなんです」

おっ、ということは。

仕立て屋結月君の出番ってことだな?

「ついでに言うと、初めて作ったものなので…。あんまり期待しないでくださいね?」

「うん、分かった。めちゃくちゃ期待してる」

「…」

その、苦虫を噛み潰したような顔。

虜になりそう。
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