星と月と恋の話
お互い春休みの過ごし方に、大きな差があることが発覚したものの。

今日は、お互い一緒に同じ時間を過ごすことになるから。

そう思うと、ちょっと照れ臭い。

「はい、着いたよー」

私は、自宅マンションの前にやって来た。

「唯華さんって、マンションにお住まいだったんですね」

「そうだよ」

だから、結月君の家みたいな一軒家には、ちょっと憧れがある。

二人でエレベーターに乗り、私の部屋があるフロアまで移動する。

結月君は、物珍しそうにきょろきょろしていた。

可愛い。

私は自分の部屋の前で足を止め、家の鍵を開けた。

「さ、ここだよ。我が家にようこそ」

「お邪魔します」

真菜と海咲を家に招くことは、何度もあるけど。

結月君は初めてだね。ようこそ、いらっしゃいませ。ごゆっくり。

「とりあえず、私の部屋に案内するね」

「あ、はい」

玄関から一番近い部屋。

ここが、私の自室。

彼氏に自分の部屋を見てもらうって、何だか緊張するわね。

「どう?ここが、私の部屋」

「…」

結月君は部屋の入り口で足を止めて、目を見開いていた。

どうだ、可愛いだろう?私の部屋のインテリア。

それとも、女の子の部屋に入るのは初めてで、緊張してるのかな?

結月君も結構ウブなところが…。

「…部屋の中にテレビがある…。自分の部屋の部屋にテレビ…」

…ツッコミどころは、そこかい。

ちょっとずっこけそうになったのを、必死に堪えた。

「…飲み物持ってくるから、ちょっとここで待っててもらって良い?」

「あ、はい分かりました」

「…勝手に部屋の中、漁っちゃ駄目だぞ?」

「大丈夫です。僕、唯華さんほど下衆ではないので」

笑顔で言われた。

それなら安心だな。あははは。

…畜生。
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