星と月と恋の話
「ゆ…結月君…」

目の前で起きたことについて、何と言ったら良いのか分からなくて。

私は視線を彷徨わせながら、彼に言うべき言葉を探した。

「ご、ごめ…」

「…随分と、趣味の良い友達をお持ちですね」

思わず謝ってしまいそうになった私に、結月君は冷たくそう言った。

心臓が跳ね上がった。

「嫌だったら、そう言ってくださいね」

「…え…?」

嫌だったらって、何が…。

結月君は、険しい顔で私を見つめていた。

その視線が痛くて、私は顔が上げられなかった。

「別に別れても良いんですよ。…どうやら僕は、あなたに相応しい人物ではないようなので」

「…!」

…どうして。

それは誤解なのよ。この罰ゲームは、私が提案した訳じゃなくて。

私は止めようとしたけど、でも湯野っち達が勝手に。

そう思ったけど…。…しかし。

結月君にとっては、そういうことをする友達を持つを私も、同類のように見えるのだ。

当たり前だ。

私だって、かつては加害者の側に立っていたんだから。

「…」

結月君は、もうそれ以上は何も言わなかった。

彼が何か言う前に。私が、何かを言う前に。

タイミングを図ったかのように、始業を告げるチャイムが鳴ったからだ。






…結局その日、私は一言も結月君と口を利かなかった。

彼と言葉を交わすのが、怖かったからだ。
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