星と月と恋の話
…つくづく、とんでもないことをしてくれた。

言うまでもないが、湯野っち達のことだ。

同じクラスになれて、あんなに喜んでたのに。

今となっては、別々のクラスになれば良かったと思っているくらいだ。

それでも湯野っち達は、全く気にすることなく。

今頃は、自分が今日罰ゲームを行ったことさえ忘れてるんだろうな。

でも緋村君はきっと、いや…絶対、忘れてないはずだ。

気を悪くしただろう。嫌な気持ちになっただろう。

傷ついただろうな。

久露花さんも、今朝は罰ゲームの意味が分かってなかったみたいだけど。

彼女も今頃は、罰ゲームの意味に気づいて、そして憤慨しているはずだ。

それなのに、二人を傷つけた張本人の湯野っちは、もう今日のことなんて忘れて、今頃楽しそうに笑ってるんだよ。

信じられないけど、これが事実なのだ。

私だって少し前までは、それが普通だったのだ。

あんな光景を見せられて、結月君はどう思っただろう。

あんなことをする人達と、私が友達だって知って、どんな気持ちだったろう。

自宅に帰ってから、私は半泣きでスマホを握り締めていた。

結月君に電話しようか、メールしようかと、そもそも連絡するべきなのかと、さっきからずっと葛藤している。

結月君の方から連絡してくれれば良いけど、彼の性格からして、それは多分ない。

…朝、結月君に言われた言葉が、ずっと頭の中をぐるぐるしてる。

別れても良いって、何よ。

相応しくないって、何よ。どういう意味よ。

何でそんなこと言うの。

お前も湯野っち達と同類なんだろう、って?

少し前までは、確かに同類だったかもしれないけど。

今は違うんだよ。今は…あんな酷い罰ゲームをして、平気な顔をしていられる人間じゃない。

私は反対したんだよ。やめようって言った。

でも、やめてくれなかったんだよ。

私のいないところで、湯野っち達が勝手に決めちゃったんだよ…。

私の前で相談していたなら、絶対に止めてた。絶対にあんなことはさせなかったのに…。

「何で相応しくないなんて言うのよ…。馬鹿…」

私は滲み出る涙を拭った。

こんなつまんない、馬鹿なことで。

私達の関係は、それで終わりだって言うの?
< 442 / 458 >

この作品をシェア

pagetop