星と月と恋の話
私の通う私立星屑学園の文化祭では。

各文化部が、各々日頃の練習の成果を発揮する、発表の場を設けると共に。

文化部に所属していない、運動部や帰宅部の生徒を中心に、各クラスごとで出し物を行う。

焼きそばやヨーヨー釣りなんかの屋台を出したり。

あるいは、教室でお化け屋敷やカフェを開いたりね。

去年の私のクラスは、確か教室内で迷路を作って、子供達に大好評だった。

あれは楽しかったなぁ。

で、今年は何をするか、だけど。

話し合いの結果。

私の一年Bクラスは、運動部の生徒を中心に、ダンスを披露することに決まった。

いかにも楽しそう。

他にも、フレンチトーストのお店をやろうとか、ドリンクのお店をやろうとか、そんな意見も出ていた。

男子達は、って言うか正樹達は、激辛たこ焼きの屋台をやりたい、なんてまたアホなこと提案したりしてて。

それはそれで面白そうではあったのだけど。

隣のAクラスが、喫茶店をやるって話だったから。

うちのクラスまで食べ物系にしちゃうと、お互い潰し合っちゃうかもしれない。

そういう配慮がもとになって、食べ物系は今回は断念。

じゃあ、イベント系をやろうって話になって。

そこで、クイズ大会とか、ファッションショーとか、色々意見は出たけれど。

結局多数決で、ダンスに決まった。

…で、役割分担だけど。

ダンスなんだから、当然踊る人は必要。

それだけじゃなくて、音源を用意する人や、ステージのセットを担当する人。

衣装係や、証明係も必要。

何なら、宣伝の為のチラシ作り担当も必要。

鑑賞無料なので、お金のやり取りをすることはないけれど。

ダンスが終わった後、観客にアンケート調査をしようということで、そのアンケート調査担当係も決めなきゃならない。

当然、皆やりたいのは踊る係。

だって、踊るだけで良いんだもん。

それだけじゃなくて、ダンスを皆の前で披露するなんて、考えただけで楽しそうじゃん。

是非とも踊るグループに入りたい。

しかし。

私達のクラスでは、公平を期す為。

全ての役割を、あみだくじで決めることになっていた。

つまり、希望する役割に就けるかどうかは、完全に運任せってこと。

そりゃあね、全員が希望通りの役割に就けるなら、皆踊りたいに決まってるんだから。

音響とか証明とかチラシ配りとか、他の係をやる人がいなくなってしまう。

そこで、あみだくじで決めようということになった。

そして、この運命のあみだくじが。

何の因果か、私に悪戯をすることになったのだ。

…正直、またか、って気分だった。
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