星と月と恋の話
三珠結月(みたま ゆづき)。

うちのクラスの男子生徒だ。

電波な久露花さんに告白するのも有り得ないけど、三珠クンに告白するなんて、もっと有り得ない。

「冗談でしょ。三珠クンなんて」

「無理。気持ち悪くて有り得ない」

これには、女友達もドン引き。

私だってドン引きしてるよ。

「こっちは負けたら久露花にコクるんだから、女子だってそれなりにダメージ負ってもらわなきゃ不公平だろ」

と、男友達は言った。

それはそうだけど…でも三珠クンは有り得ない。

好みじゃないとか、そういう問題じゃないよ。

顔は悪くないけど、あの陰気な性格。

喋るときはボソボソで、何言ってるか分からないし。

クラスの誰ともつるんでるのを見たことがない。

皆にからかわれても無反応で、本当に息してるのか疑いたくなるほど根暗。

あんな人と付き合いたい人なんて、この世に存在するのだろうか。

お金を積まれたって、あの人の恋人になるなんて御免だ。

私はこの時点で、この罰ゲームがちょっとやり過ぎなんじゃないか、と思ったけど。

「ふーん、まぁそうかもね」

「やば。絶対負けられない戦いになっちゃった」

他の女友達二人は、この罰ゲームに満更でもない様子だった。

完全に悪ノリだよね。

そりゃ、負けなきゃ良いだけなんだけど。

「さすがに三珠クンはヤバくない?あの人にコクるなんて無理だよ」

私はそう言ったけど、女友達はそんな私を見て、からかうような声をあげた。

「何?星(ほし)ちゃん、自信なくしちゃった?」

ムッとした。

「そんなことないわよ」

「じゃあ良いじゃん。やろうよ、盛り上がるよ」

仕方がない。

逃げてると思われたくないし。

どうせ私が負けることはないだろうし。

って言うか、絶対負けられない。

三珠クンに告白なんて、絶対有り得ないもん。

例えそれが罰ゲームだとしても、無理。

寒気がするレベル。

しかし、ここで悪ノリに便乗したのが悪かった。

「ただコクるだけじゃつまらないから…スケジュール計画も決めようぜ」

なんて、男友達が言い出した。
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