星と月と恋の話
「計画って何?」

「ただ付き合ってるだけなんて、つまらないだろ?もっとスリル上げてこうぜ」

そう言って、この中ではリーダー格の男友達、正樹(まさき)は、鞄の中から筆記具とルーズリーフを取り出した。

「期限は…そうだな、最長で三ヶ月な。もしコクってOKされたら、三ヶ月付き合うこと」

げ。

正樹、それ長過ぎない?

三ヶ月なんて、半年の半分じゃん。

最悪コクることになっても、絶対断ってもらわなきゃ困るんだけど。

「で、週に3回は一緒に下校して…月に2回は週末デートする。これでどうよ?」

正樹の提案は、とんでもないものだった。

悪ノリで考えるのは良いけど、それ、自分が久露花さんとすることになるかもしれないって分かってる?

「うわぁ、きっつ〜…」

「三珠クンとデートとか。一時間でも無理だわ」

女友達の真菜(まな)と海咲(みさき)が、次々に言った。

そう思うなら、正樹を止めてくれても良いのに。

「まぁでも、それはコクってOKされたらの話だろ?コクっても拒否されたら、罰ゲームはそれで終わりだよな?」

と、もう一人の男友達、隆成(りゅうせい)が言った。

あ、そうか。

付き合うの前提で考えてるけど、断られる可能性だってある訳で。

「そうだな。拒否してもらえたらラッキーってことで」

正樹も、それは認めた。

じゃ、最悪罰ゲームを受けることになっても、一応「告白を断られる」という逃げ道は残ってるんだ。

一応の救済措置はあるってことで。

でも、何かを間違えてOKされたら、三ヶ月逃げられないんだよね?

やっぱり最悪だよ。

それでも、大盛り上がりを見せる、この採点ゲームで。

悪ふざけも最高潮に達していた、この雰囲気の中で。

ラストを飾るに相応しい、面白くて…重い罰ゲームを誰もが期待していた。

だからこの罰ゲームを、やっぱりやめよう、と言い出す者はいなかった。

「よし、面白くなってきた。じゃあ始めようぜ。お互い負けられない戦いってことで」

正樹は面白おかしくそう言って、トップバッターとばかりにマイクを握った。

五回戦の始まりだ。
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