星と月と恋の話
私の番が回ってきたとき、私は歌い慣れた、自分の十八番を入力しようとした。

しかし。

「はーい、いただき〜」

「え、ちょ、何するの?」

海咲は笑いながら、カラオケ機器を私から取り上げ。

勝手に、曲を入力してしまった。

「はい、課題曲!頑張って歌って!」

「えぇ〜!」

私は不満の声をあげた。

海咲はさっき、私の提案した罰ゲームで、激辛ポテトを食べさせられた。

この悪ふざけは、多分その仕返しのつもりなのだろう。

ペロッと舌を出して、得意げな表情。

勝手に歌う曲を決められるのは、別に構わないけど。

問題は、私がその歌をあまりよく知らないということだ。

サビくらいは聞いたことがあるけど、それ以外の部分はほぼ知らない。

知らない曲で、高得点は取れない。

結局、ほとんど歌えなくて、点数は78点。

むしろ、あれだけ歌えてなくて78点もくれるなんて。何だか採点システムが甘い気がする。

けれど私は5人の中で、最低の点数を取ってしまった。

知らない曲を歌ったんだから、当然と言えば当然だけど。

恐れていたことが起きてしまった。

「はーい、じゃあ最終戦の罰ゲームは、星ちゃんが受けることになりました〜!」

激辛ポテトを食べさせられた海咲が、手を叩きながら言った。

やっぱり仕返しのつもりだったんだ。

意地悪過ぎる。

負けたら、あんなに酷い罰ゲームが待っているのに。

ふざけて良い場面じゃないでしょ。

それとも、絶対自分が負けたくないから、わざとだろうか?

海咲って、たまにそういうところあるから。

「ちょっとぉ…。ズルくないそれ?」

さすがに、私は抗議の声をあげた。

「ズルくないよ。だって、星ちゃん一回も罰ゲーム受けてないんだし」

「八百長よ、こんなの」

これまでの罰ゲームとは、重さが違い過ぎる。

私は口を尖らせたけど、友達は皆笑うばかりで、一緒になって抗議してくれる人はいなかった。

マジで?

じゃあ、私が最下位で、罰ゲームを…。

「じゃあ、最下位の星ちゃんは…三珠クンに告白します!」

海咲は、私に向かってそう叫んだ。

頭がクラクラしてきた。
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