星と月と恋の話
断られてしまったものは、どうしようもない。

他に何か…デート案を見つけなくては。

何が良いだろう。

「じ、じゃあ何処に行こっか。えぇっと…。あ、ならカラオケでも行く?」

結月君と付き合うことになった、きっかけとなった場所だね。

しかし。

「カラオケですか…。実は行ったことないんです」

映画館に行ったこともない結月君は、なんとカラオケに行ったこともなかった。

衝撃の新事実。

むしろ、何処なら行ったことあるの?

ボウリングとか、ゲームセンターとか、その辺も行ったことなさそうだね。

だからってなぁ…結月君と遊園地デートは重いし…。

…動物園や水族館も、重いな。

じゃあ、他に行けるところ…。

「あ、スイーツバイキングとかどう?確か、駅前のホテルにあるレストランで、スイーツバイキングやってるって真菜が…」
 
「…遠慮します」

駄目だった。

えぇ…?何で駄目なの?

何かこだわりがあるとか?

「…何処なら良いの?」

いっそ、結月君の意見を採用した方が良いかもしれない。

「そうですね…。何処でも良いんですけど、恥ずかしながら僕はお金に余裕がないので、お金のかからないところにして欲しいんです」

「…」

あっけらかんと、何事もなかったように言われ。

知り合いや友達に、そんなことを言われたのは初めてで。

私はポカンとして、結月君の顔をまじまじ見つめてしまった。

…正直、「映画館行ったことない」よりもびっくりした。
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