星と月と恋の話
「うん、分かった…。じゃあ、結月君がさっき言ったハイキング、やってみよう」

「つまらないかもしれませんね。済みません」

と、結月君は苦笑いしながら言った。

まさか。

「そんなことないよ。ちょっと意外だったけど…」

でも、ほら。

紅葉なんて、今の季節しか見られないんだから。

毎年毎年、何処かに紅葉見に行きたいなとは思ってるんだよ。
 
でも、何だかんだ結局行けないまま、紅葉のシーズンを逃しちゃって。

「また来年でいっか」となるのを、もう五年くらいは繰り返している気がする。

今年こそ、有言実行のときということだ。

その機会を、結月君がくれたんだと思おう。

と、前向きに解釈。

「たまには良いよね。私も紅葉見たかったし…」

「そうですか」

「じゃ、週末はハイキングデートってことで。宜しくね」

「はい、宜しくお願いします」

衝撃の事実を告白されて、びっくりしたけど。

そうと分かればスッキリした。

下手に隠されて、変な言い訳されるよりは、こっちも気持ちが楽だ。

そういうところは、結月君の良いところだと思う。素直に。
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