星と月と恋の話
「嘘でしょ?マジでやるの…?」

「なーに?星ちゃん及び腰?」

「そ、そういう訳じゃないよ」

真菜にからかわれて、私は慌てて否定した。

三珠クンに告白するなんて、まっぴら御免だけど。

でも、臆病だとか、意気地なしだとか思われるのも嫌だった。

「そうだなー。三珠クンにコクるなんて、あんまりな罰ゲームだもんなー。勘弁して欲しかったら、やっぱりナシにしてやっても良いぜ?」

と、正樹が笑いながら言った。

これには私もムッとした。

何それ。私が逃げたがってるみたいじゃない。

こんな罰ゲーム、訳ないことだ。

「別に、気遣ってくれなくても結構よ」

私は、口を尖らせてそう言った。

どうってことない。

こんなのただの罰ゲームなんだし、三珠クンが告白を受けるとも限らない。

身の程を弁えて、断る可能性だって充分あるんだし。

最悪付き合うことになったって、ほんの三ヶ月。

遊びみたいなものだ。

「やってあげるわよ。明日にでも、三珠クンにコクってくるわ」

「おぉ、星ちゃんイケメン!」

「これは三珠クンも泣いて喜ぶね〜」

全く。冗談やめてよ。

三珠クンが喜ぶかどうかなんて、どうでも良い。

「こんな機会でもなきゃ、三珠クンは一生悲しい独身貴族だったろうからね。良い思い出作ってあげなよ」

真菜は、他人事みたいに笑いながら言った。

まぁ、そうね。

三珠クンにとっては、良い思い出作りになるでしょうよ。

対する私にとっては、最悪の思い出でしかないけど…。
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