記憶屋【生徒会長・いじめられっ子篇】
「はい、どこにもありませんでした」

「そうか、困ったな」

柿沼先生はしばらく考え込んでいた。

「仕方ない。私のサンダルを貸してあげるから履いて行きなさい」

「はい、ありがとうございます」

それから私は柿沼先生のサンダルを借りて学校をあとにした。

駅に向かう途中で同じクラスの男子3人と女子2人が青毛堀の橋の上でたむろっていた。

「貞子が来たぞぉ」

遠くでそう言っているのが聞こえてきた。
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