童貞を奪った責任
そして、今日という特別な日に、態々みんなでお祝いすると言うのも何か裏がある訳で....
「姐さん、俺からの誕生日プレゼントは、手作りケーキです!」
お屋敷の料理担当の天竜さんは、大きなバースデーケーキに、きっかり26本の蝋燭を挿して、本日も割烹着姿で強面を崩して笑うのだ。
嬉しいんだけど、密かに見える金歯の所為で、彼の印象が悪役に見えるのは気の所為だろうか。
「有難う、天竜さん。」
「さっ、火を消して下さい。」
言われるが儘に、大きく息を吸い込んで吐き出すと、消えていく無数の灯火たち。
拍手喝采の最中、次から次へと贈り物をするべく列を成す組員たちに、苦笑いを浮かべた。
詠斗と付き合ってから、彼等は私達に執拗に、カップル用で使う品物を押しつけてきて、センスが良いものも有るが、大半は余計なお世話の様な、夜の営み用のアダルトグッズばかり。
その卑猥な品物を包んだ包装紙は、某激安の殿堂ジャングルで購入したもので間違いないだろう。