童貞を奪った責任



――――――――「でも、姐さん。以前にも増して肌艶が良くなって帰ってきましたね。」



 朝から仕事に出てしまった詠斗を見送って、私は天竜さんと大広間で食事を摂りながら雑談中。


 正座しながら私を見て微笑む天竜さんに、赤面したのは言うまでもない。



 
 結婚前の怒涛の日々を送り、ハネムーン中に彼に愛されに愛され尽くされて、温泉効果もあったのかな?


 

「あ、いけねー。姐さんっ!!自分、若頭に昼食持たせるの忘れました!!」


「え~。」




 愛妻弁当ならぬ、愛熊弁当。山田組の料理担当の天竜さんお手製の栄養たっぷり手作り弁当。


 

「車回しますんで、会社まで届けてやってくれませんか?」



 自分は、夕食の仕込みがあって....とお願いされてしまった。





 今日はまったりお家でごろごろする予定だったのにな....。



 

 寿退社をしてからと言うもの、四六時中ごろごろしている怠け者になった私。


 家の家事は、すべて組員さんがやってくれるから、やる事なし!!暇を持て余して、辿り着いた先はぐーたらスローライフ。



 



「別に構わないけど、突然押しかけて大丈夫かな?」


「社長夫人が何を言ってんすか!!」


「だって、詠斗の会社に行くの初めてなんですけど....。」






 彼の事を知る良い切っ掛けなんだろうけど、非常に面倒くさい事になった。



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