童貞を奪った責任




・・・気不味いって言うのは、実にこの事だ。



 いくら酔っ払ってたからと言って、私に拒絶された事を少なからず....いや、かな〜り根に持っている詠斗は、態とらしく私を避け出したのだ。







「ゔ〜。天竜さぁぁあんっ。」


「えっ、はいっ⁉︎姐さんっ⁉︎」




 詠斗が丸々一週間も私に触れてこなかった。




 私が寝ている隙に、早朝仕事に行って、帰ってくるのは、私が寝静まった夜中。


 いくらなんでも分かりやすい。




「ちょっと泣かないでください、ねっ?ほら、とりあえず味噌汁冷めちゃう。」


「うん。分かってはいるよ。天竜さんのご飯美味しいから、こんなに悲しいのに、ついつい食べちゃうよ。」



「若頭が忙しいのは、今に始まった訳じゃないっすよ。今まで姐さんの為に、仕事勝手に切り上げてたツケが回って来てるんだと思います。」



「マジかっ。でも、フォローになってない。」




 確かに、言われてみれば、なんだけど....




 私のストーカーしてた時は、気にしてなかったけど、付き合ってから〜とか結婚してから、だいぶ仕事中心の生活になってると思う。


 それは私を養う為に頑張ってる。って割り切ってはいたけど....



 こうして離れて気付く事も沢山あるのだ。





「まさか、詠斗に抱いてもらえない日が来るなんて。」



「朝から過激発言やめてくださいっ。」



 顔を赤らめて、気不味そうに目を閉じた天竜さん。


 私はと言えば、欲求不満再来。



 結婚してから初のレスというものを体験する事となった。
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