童貞を奪った責任
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「ご懐妊ですね。」
私がトイレで一頻り吐きに吐いて、急遽病院に救急搬送。
今までの症状を一から十まで先生に話したら、検査をすることとなったのだ。
「うん、今までの食欲と苛々は、妊娠初期に見られる症状なので.....」
なんて、坦々と話し出す先生に、
「...はい?」と、アホ丸出しな私。
ベッドに横になって、エコーを当てられて、一面紺色の画面に蠢く二つの生命体を確認したのだ。
「双子ですね。おめでとうございます。」
何だか、訳が分からなくて、放心状態の私は、付き添いで来てくれた天竜さんと七海さんと共に病院を出ようとしたら、
病院の入口の自動扉に、激突しながらも入ってくる。焦り狂う詠斗の姿が見えて、その場に立ち止まった。
「杏ッ!!!!!」
勢い良く抱き着いて来た詠斗。久しぶりに顔見たら、感極まって涙が零れてきた。
「若頭....遂にです。」
側に居る天竜さんも、鼻を啜りながら涙ぐんでいて、その横で七海さんが、天竜さんの背中に手を回して落ち着かせる様に擦っていた。
「詠斗....パパになるんだってよ。双子の....。」