童貞を奪った責任
―――――――「・・・では、改めまして、杏ちゃん。俺は、ハチの...あ~。詠斗の双子の兄の七海です。ハチってのは、愛称だよ~。今後兄妹になるだろうから仲良くしようね~。俺の事は、ナナって呼んでも良いよ!!あ、待って、弟じゃなくて、それともお兄ちゃんの俺にしとく?でも、待てよ....そうなると、まっ細かいことは良いか!!よし、杏ちゃん俺と結婚しよう。」
「何故、そうなる!!」
未だ天竜さんが意識を失っている最中、居間であろう和室にて対面するのは七海さん。
勝手に自己紹介を始めたんだけど、マシンガントーク過ぎてついていけない。
でも最後の言葉だけは聞き捨てならなかった。
「ナナてめぇ。次、杏の名前呼んだら殺す。そんでお前にはやらん。」
そしてどうしても私を膝の上に座らせたがる糞野郎によって、抱きかかえられていて....
七海さんに殺意剥き出しの怒号が、耳元でギャーギャー五月蠅いのだ。
「ちょっと黙ってくれない?第一、私はアンタの女じゃないし、七海さんと兄妹になるつもりも無いし、言っちゃ悪いけど、あんた等兄弟の茶番に付き合ってる暇なんて無いんだけど。」
「とかなんとか言われちゃってますよ~可愛い弟よ。あ、ナナって呼んでよ~。」
「ウザっ、」
わかりやすく大きく舌打ちした詠斗は、このハイテンションなお兄さんに口では敵わないみたいだ。
そして私も同様に....
「呼びませんから。」
「え~。ハチじゃなくて俺を選ぶかも知れないじゃん?そしたら卑猥かも知れないけど、俺は杏ちゃんのこと【あんあん】って呼びたいな。」
「すいませんが、それは却下で....。」
実に悪意しか感じない愛称の付け方に、怒りが込み上げてきて、額の血管が今にも切れそうだ。
糞野郎の双子の兄【七海】という、ヘラヘラ国宝級美形男が、“私の人生狂わせられ計画”に参入してまいりました。
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