童貞を奪った責任




 昨日の突撃騒動並びに、今朝のお盛ん送りは、瞬く間に社内を騒がせる。




 つい先日、寿退社した先輩に続け‼︎‼︎と冷やかされる羽目になるが、みんな相手がヤクザって知らないから....。

 尚且つ、ストーカー男。そんなヤバい男に迫られてます。なんて口が裂けても言えません。




「あの男の影、皆無だった社内のマドンナが遂にか....。」


「私昨日相手の男性見たんですけど、あれはヤバいです。もうお似合い過ぎて....それに、伊丹さん愛され過ぎじゃないですか?そ、その....」



 何故か本人よりも恥ずかしそうに顔を赤らめる同僚(女)は、顔を逸らしながら私の首筋に指を指す。


 あんた昨日、あの三人を見たよね?明らかにそっち系の人だと理解した上で、私の事心配してましたよね!?




 いくら平和ボケしているからと言って、ひとのキスマーク見て“結婚秒読みかも”とか恋愛の話題には敏感だ。





――――勘弁してくれ。こちとら、どうすればあの俺様糞野郎(エイト)から逃げれるのか模索中なんだから。


 

 











・・・「杏ちゃんヤッホー。」

 
 お昼休憩後、商談室前を通りかかった時、久方振りに感じるセフレ君と遭遇する。


 今日も今日とてチャライケメン。滲み出るチャラ臭が懐かしい。

 彼は詠斗によってつけられたキスマークを見て、萎えさせてしまった一番仲良しなセフレ君。そしてラブホ凸されてエッチはお預け。


 その後会うのは初めてである。



「...け、ケンちゃ~ん。」


 若干の涙目で迫る私は、人目が無いのを良い事に、ケンちゃんこと“私と詠斗の事情”を少なからず知っている人物に話を聞いてもらうべく抱き着いた。






 
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