童貞を奪った責任
数年前、この場所を離れた時の様な嫌な感覚が蘇る。
私がこの場所に帰れなくなった原因を作った人物。
私が彼氏を作らなくなった元凶。
夢の中に出てきた、くそったれが未だに地元に居るのではないかと思うと、昔を思い出して恐怖心に駆られる。
愛する人が豹変して、束縛が激しくなって、異性どころか同性の友達と関わることを許さない。
毎日青痣を作っては、それを見た同級生たちが私を心配して、元カレ....【優磨(ゆうま)】に怒ってくれたけれど、それは逆効果だった。
優しさを磨くなんて書く名前な癖に....
全く別方向の有難迷惑な優しさを研ぎ澄ましてしまった元カレ....
とうとう取り返しがつかなくなった時、私は病院のベッドに居て、泣きながらこの場所から離れる....優磨から逃れる事を選んだのだ。
ちゃんとお別れもせずに、目の前から消えた私。
でも、どう考えたって、あの時の優磨は絶対に私を手放さなかっただろう。
愛に狂った人を知っているから、私は愛される事、愛する事が怖いのだ....。
“ギブアンドテイク”この言葉が存在する様に、相思相愛なら相手に望むものが段々とエスカレートしていく。
だから、私は都合の良い女で在り続けようと決めたのだ。
そうすれば、前みたいな悲惨な事は起きない。と信じていたから....
それなのに、私の意思など無視するあの男は、散々私を振り回して、好きだと何度も告げてきた。
初めてを奪ってしまった相手、他の女の方なんかに目も暮れず、往生際が悪く私を手に入れようとしたあいつ。
国宝級な美形美男子なくせして、私みたいなアバズレに執着して....
「....ばっかみたい。」