童貞を奪った責任
お酒も入り、雪国の人たちは酒に強く、私は真っ先に潰れてしまった。
雪国生まれだと言うのに、どうして私はみんなみたいにお酒が強くないのか....。
羨ましいな~。と虚ろな目で見渡す店内。
ギャーギャー、ワーワー。
同級生の間で結婚した人も何組か居て、酔っぱらった旦那を叱る嫁の姿は実に愉快。その逆も然り。
みんなそれぞれ、地元に残った人も居れば、隣町に越した人も居たり....
ちゃんとした大人に成長したんだな。と自分の私生活の悪さを悲観しだす始末。
酔っぱらって、ポカポカした店内は、次第に眠気を誘う。
―――――そんな時に、その場がシンと静まり返った事に、私は気付かなかった。
その人物が、登場した時。
「....お前、来たのか。」
なんて声が聞こえてきて、あれ途中参加で誰か来たんだ。だなんて悠長な事を考えていたのだ。
隣に座っていた女の子が、私の身体を揺さぶり、脳みそが揺れて気持ちが悪かった。
調子に乗って飲んだ日本酒が効いたみたい。
「ねえ、ヤバいって。優磨来たよ.....。」
「―――――へっ?」
なんて、間抜けな返事をした時。
ドタバタと大きく振動する畳の床、行き成り影が出来て、誰かが私の目の前に立っている事に気が付いて、ゆっくりと振り返れば......
「杏....会いたかった。」
昔と変わらない匂いを漂わせた懐かしい人物は、私の身体を抱き締めていた。