童貞を奪った責任
目が覚めると、身体に絡まる人肌と重圧感に気が付いた。
スースー、と安定した吐息を立てる人物は、何となく記憶に残る男である。
久しぶりの綺麗な顔は、やはり女である私より美人で....羨ましいなちくしょう!
昨晩、地元の同窓会に参加した私は、元カレの優磨と再会した。
そして、彼に送ってもらいながら謝罪と話をして....えっと、割と早くに私を捕獲に来た糞野郎が....えっと....
兎に角、詠斗の元から逃亡したが、速攻で捕らえられてしまったのであった。
でも待って、記憶が曖昧だ。やはりお酒は得意じゃ無いや。
室内は極寒な筈なのに、奴に抱き締められてるお陰で、特別寒くはないし、何より久しぶりに感じる腰痛に、昨晩抱かれたことに気付かされる。
すみませーん。覚えてないです....。
詠斗の綺麗な寝顔を眺めながら、不意に乱れた彼の前髪に触れていると、
「んん....。」
寝惚けながら顔を顰める。そして彼は抱き締める力を強めた。
「っっく、くるし、....」
二日酔い、そして搾り出されるゲ◯。
マジで吐く、マズイ‼︎‼︎オーマイガー‼︎‼︎
必死に堪えて、喉の奥に控えた汚物を塞き止める。
何故に此奴は、自分の好きな女を絞め殺そうとしちゃってんの?
いくら寝ているからと言って、やって良い事と悪い事くらい分別つけろってんだ。糞が。
猛獣が寝ていることを良い事に、今のうちだと二の腕を抓る。
だ、け、ど、
「んなの、痛くも痒くもねーよ。」
起きた猛獣は私の額に歯を立てて噛み付いた。
「痛い痛い痛い‼︎」
吃驚して離してしまった指先は、私に巻き付けていた筈の奴の手に絡みとられて、そのまま仰向けへと押し倒される。私を見下す男は、勝ち気に口元で弧を描くと、噛み付く様なキスを落としたのだった。