王太子と婚約した私は『ため息』を一つ吐く~聖女としての『偽りの記憶』を植え付けられたので、婚約破棄させていただきますわ~
「俺も聖女について知っていることはあるが、おそらくこれが全てではない。だから……」

 そう言うとレオはポケットから金色の鍵を掲げて私に見せて来る。

「それは?」
「この第二王宮の地下室の鍵だ」
「え、地下室なんてあったの?!」

 そこまで言って思わず口に手を当てる。
 しまった……これじゃあ、レオの目を盗んで聖女の資料を集めてたのがバレバレじゃない。
 すると、レオはにやりと口角をあげると、鍵で遊びながら足を組む。

「ほお、やっぱり俺にこそこそ隠れてなんかやってたか。まあ、聖女についてとか、元の世界に戻る方法とやらを探していたんだろうけど……」
「ぎくっ!」

 バレてる……!
 どうしよう、もう今さら言い訳するのもあれだし、もう開き直るしか……。

「まあ、お前の動きはバレバレだからな。ディアナから聞いてたし」
「え?」
「ああ、ディアナは暗殺部隊出身だからな。そういうのに長けてる。こいつもディアナがようやく第一王宮から盗み出したってとこだ」

 知らなかった……。あんな可愛らしい幼いふんわりした雰囲気のディアナが暗殺部隊の……?
 わからない、人は見かけによらないわ。

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